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*
「オルジェ、ランディさんは?
あ、オルジェ!血がついてる!
ま、まさか、あんた、ランディさんの足を…!」
「ケイト…物騒なことを言うなよ。
俺がランディの足にナイフをつきたてて宝石をどうにかするとでも思ったのか?
ランディには、宝石の事を悟られないようにということと、イアンに気を付けろと…そして、出来るならしばらくの間、そこを離れろと言ってきた。
なんせ、イアンは悪魔と手を組んでいる。
もしも、ランディが宝石を体内に隠してることがわかったら、イアンがランディに何をするかわからないからな。」
「そうだったの?じゃ、その血は…?」
「怪我をしたフクロウをみつけたんだ。
助けてやりたかったんだが…傷は思ったより深くて…
鷹にでも襲われたのかもしれないな、かわいそうに。」
「こんな非常時にフクロウの心配だなんて、おまえらしいな。」
「仕方ないだろ、みつけちまったんだから。
そんなことより、そろそろ、行こうか。」
「行くってどこへ?」
「安全な場所だ…」
「ランディさんやリュタンはどうするの?」
「ランディは親父さんに話をしてから発つらしい。
どこかあてがあるようだ。
リュタンも自分が連れていくといって聞かなくてな。」
「そうなの…」
「リンクはイアンとは昔からの知り合いだから、俺の話を信じてくれるかどうかもわからないが、ランディがきっとなんとかしてくれるさ。」
三人は少しずつ明るくなりかけた空を見上げながら、まだ誰もいない道を歩き出した。
*
「アルグ、皆はどこへ行ったんだ?」
「わかりません。ボクが起きた時にはもう誰もいなくて…」
「おかしいな。ケイトがボクに黙って出ていくはずはないんだが…」
夕暮れ近くになって、ランディの父親が帰って来ると、そのほんの数分後、一人の老人がランディの家を訪れた。
「初めまして。
私はユフィルという村で牧師をしているイアンという者なのですが、こちらにケイト達がお邪魔していませんか?」
「あぁ、ケイトさん達ならいらっしゃいますよ。
ランディ~!ランディ!」
しかし、その声に返事はなかった。
「おかしいな。ちょっと見てきますのでそちらでお待ち下さい。」
しばらくすると父親が戻ってきてイアンにこう言った。
「すみません。みんな、でかけているようです。
きっと直に帰ってきますよ。
イアン牧師、ユフィルからはお一人で来られたんですか?」
「オルジェ、ランディさんは?
あ、オルジェ!血がついてる!
ま、まさか、あんた、ランディさんの足を…!」
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ランディには、宝石の事を悟られないようにということと、イアンに気を付けろと…そして、出来るならしばらくの間、そこを離れろと言ってきた。
なんせ、イアンは悪魔と手を組んでいる。
もしも、ランディが宝石を体内に隠してることがわかったら、イアンがランディに何をするかわからないからな。」
「そうだったの?じゃ、その血は…?」
「怪我をしたフクロウをみつけたんだ。
助けてやりたかったんだが…傷は思ったより深くて…
鷹にでも襲われたのかもしれないな、かわいそうに。」
「こんな非常時にフクロウの心配だなんて、おまえらしいな。」
「仕方ないだろ、みつけちまったんだから。
そんなことより、そろそろ、行こうか。」
「行くってどこへ?」
「安全な場所だ…」
「ランディさんやリュタンはどうするの?」
「ランディは親父さんに話をしてから発つらしい。
どこかあてがあるようだ。
リュタンも自分が連れていくといって聞かなくてな。」
「そうなの…」
「リンクはイアンとは昔からの知り合いだから、俺の話を信じてくれるかどうかもわからないが、ランディがきっとなんとかしてくれるさ。」
三人は少しずつ明るくなりかけた空を見上げながら、まだ誰もいない道を歩き出した。
*
「アルグ、皆はどこへ行ったんだ?」
「わかりません。ボクが起きた時にはもう誰もいなくて…」
「おかしいな。ケイトがボクに黙って出ていくはずはないんだが…」
夕暮れ近くになって、ランディの父親が帰って来ると、そのほんの数分後、一人の老人がランディの家を訪れた。
「初めまして。
私はユフィルという村で牧師をしているイアンという者なのですが、こちらにケイト達がお邪魔していませんか?」
「あぁ、ケイトさん達ならいらっしゃいますよ。
ランディ~!ランディ!」
しかし、その声に返事はなかった。
「おかしいな。ちょっと見てきますのでそちらでお待ち下さい。」
しばらくすると父親が戻ってきてイアンにこう言った。
「すみません。みんな、でかけているようです。
きっと直に帰ってきますよ。
イアン牧師、ユフィルからはお一人で来られたんですか?」
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