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scene 7

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「トレル、起きろ!」

「は、はいっ!」

「ばかっ!二人だからといって気を抜くな!
俺には今後一切敬語は使うな。
おまえは、フォーラスじゃない!トレルなんだ。
オルジェやケイトの幼馴染みのトレルだ。
昔のことや都合の悪いことを尋ねられたら、『思い出せない』と言うんだ。
わかったな!」

「わかりまし…いや、わかった。
だが、そんなことを言ったら怪しまれないか?」

「そのために頭に怪我をさせたんだ。
その傷が元で記憶の一部が思い出せないふりをすれば良い。
困ったら、『思い出せない…』とか、『頭が痛い』と言え。
特に、エルスールには気付かれないように細心の注意を払うのだ。
決して、感情を表に出すな!
復讐のことは今は忘れろ。良いな!」

「わかっている…」

「それから、『風に眠る炎』はどこだ?」

「それが、トレルの奴、どこにも持ってなくて…」

オルジェの手がトレルの頬を打つ。

「おまえがトレルだと言っているだろう!」

「す、すまん。」

「普段から決して気を抜くな!
…トレルが持っていないとすると…ランディに聞くしかないな。
明日、それとなく聞き出してみよう…」



次の朝、ランディはオルジェの大きな声に叩き起こされた。

「ランディ、大変だ!」

「どうした?またフォーラスか?」

「いや、そうじゃないんだ。
さっき、ケイトの話をしてたら、トレルの奴、急に頭が痛いと言い出して…」

「頭が…?」

「トレル!大丈夫なのか?」

「あぁ、心配かけてすまない。痛みはもうおさまった…ただ…」

「どうしたんだ?」

「ケイトと別れた時のことを思いだそうとすると、頭が痛みだして…おかしなことに頭にもやがかかったようになるんだ…」

「覚えてないのか?」

「あぁ…それにこの皮袋…何か、大切なものが入っていたような気がするんだが、それが何だったのか思い出せない…」

「あの宝石のことを覚えてないのか?」

「宝石?」

「そうだ。アルグが『風に眠る炎』ではないかと言っていたあの赤い宝石だ!」

「赤い宝石…?
思い出せない…俺は、それをどうしたんだ?」

「あれは、俺が安全な所に隠したじゃないか。」

「どこに…?」

「それはおまえには言ってない。」

「秘密なのか?」

 
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