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scene 5

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(何だ!?)

不意に現れた鳥の羽ばたきに気を取られたエルスールの一瞬の隙を突いて、フォーラスは森の中を走り出した。

「待て!フォーラス!」

フォーラスは振り返りもせず、森の中を駆けていく…

(あやつめ…許さんっっ!)

エルスールは走りながら狙いを定め、フォーラスの背中を目がけて鋭い剣を投げつけた。



「ぐ…ぐふっ…」



エルスールの剣は、フォーラスの身体を貫いていた。

「ふんっ!こんなこざかしい真似をしなければ、おまえも死なずに済んだものを…」

「…良いのか…ワシが死んだら…村人達は…」

かすれた声を絞り出すように、フォーラスが囁いた。

「私には関係のないことだ。
トレルには黙っていればわからぬ。」

「おまえと…いう女は…」

エルスールは、横たわるフォーラスの背中に足をかけ、自分の剣を引き抜いた。

フォーラスの身体からどす黒い血が溢れ、あたりにフォーラスの苦痛の悲鳴が響き渡る…

「……私の剣をこんなに汚しおって…」

エルスールはフォーラスのローブで剣の血肉を拭った。

「本当に…良いのか…」

エルスールはその問掛けには答えず、剣を鞘におさめると、フォーラスのうつ伏せの身体に靴をさしこみ仰向けに転がした。

フォーラスがうめき声をあげる。

「こいつはいただいておく…」

フォーラスの懐から、「風に眠る炎」を奪い取ったエルスールは、石を見て微笑んだ。

「トレルにペンダントでも作ってやるか…」

「ば…ばかな…そ、それは…」

「……さて…と…
くだらないおしゃべりはここまでだ…」

エルスールは再び鞘から剣を引き抜くと、それを頭上高くに振り上げた。

フォーラスの顔が恐怖にひきつっている…

「ふっ…悪魔のおまえでも、死を恐れるのか…
さすがは三流悪魔だな…」

エルスールはおかしそうに声をあげて笑い、剣を納めた。

「な…なぜ…とどめを…ささん…?」

「これ以上、私の剣をおまえの汚い血で汚したくはないのでな。
放っておいても、時期におまえは死ぬだろう…
自らの薄汚い血の海で溺れ死ぬが良いわ!」

エルスールは、高笑いをしながら去っていった。

 「ち、畜生…あの女め…」

フォーラスが苦労して手に入れた「風に眠る炎」は、エルスールに簡単に奪われた。

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