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「ここが、村長の家だ。」
歩いて来る時に通りすぎて来た家に比べると、リンクが指さした家は一回り大きいものだった。
「さ、行くぞ!」
リンクについて、オルジェは村長の家に入る。
ゴンッッ!
「いて~~っっ!」
一般的な家より一回り大きいとはいえ、やはり小人サイズなのだ。
オルジェは固い梁に頭をしたたか打ち付け、リンクは遠慮もせずに、高い声でケタケタと笑う。
(…くそっ!覚えてろよ~!!)
通された部屋には、リンクによく似た小人がいた。
ぱっと見には双子にも思える程、よく似ていた。
「村長!連れてきたよ!」
「おぉ、リンク…ご苦労様でした。
あなたもよく来て下さいましたね。
初めまして!
私はこの村の村長のティンガです。」
「あ…あぁ、はじめまして。
オレはオルジェ。
…だけど…驚いたなぁ…」
「何がです?」
「村長なんていうから、じいさんなのかと思ってた。」
「…人間と妖精は年の取り方が違いますからね。
この村には老人はいませんよ。
いえ、年齢が高い者はいますが、おそらく人間のあなたには見分けがつかないと思いますよ。」
「そうなのか…妖精って不思議だな。」
「私達から見れば、人間の方が不思議ですよ。」
そういってティンガは穏やかに微笑む。
(リンクと比べるとずいぶん落ち着いた印象だけど、村長の方が年上なのかもしれないな…)
「村長!ボク達、はらぺこなんだ。
とにかく早く食事にしてくれよ。」
「わかりました。すぐに用意しましょう。」
村長は、二人を食卓に案内し、しばらくするとそこには豪華な料理が並べられた。
「美味い!!
なんだか見たことないもんばっかだけど、どれもすっごく美味いな!」
「村長の奥さんが料理上手なのさ。」
「奥さん?村長には奥さんがいるのか!」
「そんなに意外ですか?」
「い、いや、そういうわけじゃないんだけど…」
口ではそう言ったが、オルジェにはとても信じられないことだった。
なにしろ、ティンガはまるで小さな子供みたいに見えるのだから。
(まさか、子供もいるんじゃないだろうな…!?)
オルジェはティンガをまじまじと見つめる…
「…オルジェさん…なにか?」
「あ……なんでもないんだ…ハハハ…
ところで、奥さんは?」
「まだおまえが良い人間かどうかわからないから、子供達と一緒に隠れてるんだよ!」
「なにぃ~?!」
「ここが、村長の家だ。」
歩いて来る時に通りすぎて来た家に比べると、リンクが指さした家は一回り大きいものだった。
「さ、行くぞ!」
リンクについて、オルジェは村長の家に入る。
ゴンッッ!
「いて~~っっ!」
一般的な家より一回り大きいとはいえ、やはり小人サイズなのだ。
オルジェは固い梁に頭をしたたか打ち付け、リンクは遠慮もせずに、高い声でケタケタと笑う。
(…くそっ!覚えてろよ~!!)
通された部屋には、リンクによく似た小人がいた。
ぱっと見には双子にも思える程、よく似ていた。
「村長!連れてきたよ!」
「おぉ、リンク…ご苦労様でした。
あなたもよく来て下さいましたね。
初めまして!
私はこの村の村長のティンガです。」
「あ…あぁ、はじめまして。
オレはオルジェ。
…だけど…驚いたなぁ…」
「何がです?」
「村長なんていうから、じいさんなのかと思ってた。」
「…人間と妖精は年の取り方が違いますからね。
この村には老人はいませんよ。
いえ、年齢が高い者はいますが、おそらく人間のあなたには見分けがつかないと思いますよ。」
「そうなのか…妖精って不思議だな。」
「私達から見れば、人間の方が不思議ですよ。」
そういってティンガは穏やかに微笑む。
(リンクと比べるとずいぶん落ち着いた印象だけど、村長の方が年上なのかもしれないな…)
「村長!ボク達、はらぺこなんだ。
とにかく早く食事にしてくれよ。」
「わかりました。すぐに用意しましょう。」
村長は、二人を食卓に案内し、しばらくするとそこには豪華な料理が並べられた。
「美味い!!
なんだか見たことないもんばっかだけど、どれもすっごく美味いな!」
「村長の奥さんが料理上手なのさ。」
「奥さん?村長には奥さんがいるのか!」
「そんなに意外ですか?」
「い、いや、そういうわけじゃないんだけど…」
口ではそう言ったが、オルジェにはとても信じられないことだった。
なにしろ、ティンガはまるで小さな子供みたいに見えるのだから。
(まさか、子供もいるんじゃないだろうな…!?)
オルジェはティンガをまじまじと見つめる…
「…オルジェさん…なにか?」
「あ……なんでもないんだ…ハハハ…
ところで、奥さんは?」
「まだおまえが良い人間かどうかわからないから、子供達と一緒に隠れてるんだよ!」
「なにぃ~?!」
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