上 下
27 / 32
神社のお守り(いて座)

しおりを挟む
「あ…そんなに怖がる必要はないのよ。
これは溜まりこんだ厄災が溢れてるだけだから。
これ自体が、悪い物だってわけじゃないわ。
使い方を間違えたのが悪いのよ。」

「そ…それじゃあ、どうすれば良いの?
私、二週間近くつけてたけど大丈夫なの?」

「じゃあ…行きましょうか。」

「行くってどこへ……」

私はわけもわからないまま、野口さんに着いて行った。
野口さんが向かったのは近所の神社。
途中のコンビニで買った半紙にお守りを包み、そこに野口さんが持ってた塩も一緒に入れて、野口さんはお守りを神社に納めた。
もっとなにか大袈裟なことをイメージしていた私には気抜けするように簡単なことだった。
それから、私達は、二人でお参りをすませた。
野口さんは、お参りの仕方も教えてくれて、こういうことにも作法があることを私は初めて知った。



「はい、これ。」

帰り際に、野口さんが私の前に小さな袋を差し出した。
それはその神社のお守りだった。



「え…?」

さっきの話を聞いてお守りがなんとなく怖いと感じていただけに、私の気持ちは複雑だった。
それに、どうしてこんなものを…
やっぱりさっきのお守りの呪いが私にまだ残ってる…?



「野口さん、どうしてこんなものを私に…?」

私は胸にひっかかるその質問をぶつけた。



「……小野寺さんは私のことを信じてくれたから…」

「えっ?」

「……私、別に怖がらせようとか思って言うんじゃないのよ。
でも、皆、私が何か言うと怒ったりして…ろくに話も聞いてくれない。」

そう言った野口さんの顔はとても寂しそうなものだった。



「……皆、きっと怖いんだと思うよ。
私も怖かったもの。
でも、自分じゃどうして良いかわからないから、野口さんに任せたの。」

「……そう……ありがとう。」

「やだなぁ、お礼を言うのは私の方よ。
ありがとう。
あ、そういえば、野口さんはもう受験は終わったの?」

首を振る野口さんを見て、私は同じお守りを買いに走った。

差し出したお守りを見て、野口さんはとても嬉しそうな笑顔を見せてくれた。




「受験、頑張ろうね!」



家に戻った頃には嘘のように熱が下がり、体調はすっきりとしたものになっていた。
そういえば、神社に行く時点ですでにだるかったのがマシになっていたことを私は思い出した。
野口さんの言うことが本当なのかどうかはまだ半信半疑だけど、本当だとしか思えないようなタイミングで体調は回復して、私は無事に受験に臨むことが出来た。 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

今日の授業は保健体育

にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり) 僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。 その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。 ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。

あれこれ短編集

ルカ(聖夜月ルカ)
ファンタジー
あちこちで書いた短編たちの寄せ集め。

Gift

ルカ(聖夜月ルカ)
ファンタジー
リクエストやら記念に書いたSS集です。 すべて、数ページ程の短編ですが、続き物になっているお話もあります。 私や他のクリエイター様のオリキャラを使ったものや、私のお話の番外編もあります。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

処理中です...