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求婚

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その日のリュシアン様は、朝からなんとなく様子がおかしかった。
 朝食の時から、フォークを落とされたり、何か落ち着かれない感じがした。
でも、思い当たることは何もない。
 特に体調が良くないようにも思えないし…



「お前たちはここにいなさい。
 俺は、少し亜里沙と話がある。」



 朝食が済み、散歩にでも行こうと話していた時、リュシアン様が使用人たちにそうおっしゃった。



 (私に…話って…?)



 一体、何なんだろう?
いつもは、傍に使用人がいても特に気にされることなんてなかったのに…



(もしかして……追い出されるの?
 国王からのご命令があったのかしら?)



そう思ったら、なんとなく納得は出来た。
 私はアドルフ様の側室…でも、アドルフ様はもういない…
しかも、アドルフ様は私のせいで亡くなられたようなものだもの。
 追い出されてもおかしくない。
むしろ今まで自由にさせていただけてたことが不思議なくらいだ。



 「頂上まで散歩しよう。」

 「は、はい。」



 屋敷から別荘には、歩きやすいように道が作られている。
 緩やかな坂道だ。
リュシアン様の手が自然に私の手に伸ばされる。
どこかに行く時は、決まってこんな風にリュシアン様は私と手を繋いで下さる。
いつの間にかそんなことにも慣れてしまってたけど、今日は、なんだかちょっと緊張する。

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