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愛しさと切なさと

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 「アリシア…ここを出てからの住む場所のことだが、おまえはどういうところに住みたい?」

 「えっ?決められた場所に住むのではないのですか?」

 「そんなことはない。
おまえが望む所に屋敷を与えよう。」

 「そ、そうなんですか?
で、でも、私…まだこの国のことをよく知らないので…」

 「そうか…それでは、ここを出たら一緒に旅をしよう。
そして、その中から好きな場所を選べば良い。」

 「あ、ありがとうございます。」



アリシアは頬を赤らめ俯いて、私の目を真っすぐに見ない。
 王女の時とは違い、今のアリシアはずいぶんと恥ずかしがり屋のようだ。
そんなことを思うと、今のアリシアが妙にいじらしく見える。



 「そうだ、アリシア…おまえは甘いものは好きか?」

 「はい、好きです。」

 「そうか、それは良かった。
 今日は、菓子を持って来た。
 料理長の焼いた甘い菓子だ。」

 「どうもありがとうございます。」



 女子供は甘いものが好きだと聞く。
だから、今日は菓子を持って来たのだが、アリシアは本当に喜んでくれているのだろうか?
それとも、適当な返事をしているだけか…



(アリシアの本心が知りたい…
私のことをどう思っているのか…)



しかし、その問いを直接ぶつけたところで、嫌いだと言うはずがない。
 何せ、今の私はこの国の王子なのだから…



(彼女の本心が知りたい…!
どうすれば、彼女は心から私を愛してくれるのだろう?)



 狂おしい程の想いをひた隠し、私は静かに微笑んだ。
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