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心からの微笑み

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「陛下!」

 「どうした、アドルフ…大きな声を出して…」

 「陛下!ジゼルに子が出来たようです!」

 「なんと、子が…
そうか、それで先程…でかしたぞ、アドルフ…!」

 陛下はそう言って、何度も頷かれた。



 「陛下、アリシア…いえ亜里沙を…幽閉の塔に入る亜里沙を出していただけますか?」

 「何?まだ半年は過ぎてはおらんだろう。
しかも、ジゼルに子が出来たばかりだというのに、そんなこと…」

 「ですが、私は王子としての役目はもう果たしました。
どうか、亜里沙と会わせて下さい。」

 「まさか、おまえ…
子が出来たからではなく、あの女と会えると思ってそれほど喜んでいたのか?」

 陛下の咎めるような視線に、とてもそうだと答えることは出来なかった。
だが、真実はまさにその通りだ。
とても子供染みた真似をしているとわかってはいるのだが、もしかしたら亜里沙に会えるのではないかと、そんな想いにかられ、私はここに報告に来てしまったのだ。



 「おまえ、それほどまでにあの女を…
なぜだ?なぜ、あの女にそんなにこだわる?」

 「……それは……」

 本当のことなど言えるはずがない。
もっともらしい言い訳も咄嗟には思いつかなかず、私はただ俯いて黙り込むだけだった。



 「今、ジゼルを刺激して、お腹の子になにかあってはまずい。
それに、約束の半年にもまだ少しある。
だから、あとしばらくは控えておけ。
ただ…どうしても会いたいのなら、面会だけは許す…」

 「ほ、本当ですか!?」

 陛下は私を見て、苦笑された。



 「おまえのそんなに嬉しそうな顔は、今までに見たことがない。
わかった。一日一度だけ会いに行って構わない。
ただ、くれぐれもジゼルには気付かれぬようにな。」

 「は、はい!わかりました!」

ついに会えるのだ…アリシアに…
この日をどれほど待ち焦がれたことか…!



 私は、空をも飛べそうな程、浮かれていた。

 
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