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白亜の城

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「こ、こんばんは!こんばんは!」

 教会を走り去り、最初にあった民家の扉を叩いた。



 「誰だい、騒々しい…」

 中から顔を出したのは、不機嫌そうなおばさんだった。



 「あ……」

 私がそれ以上何も言えなくなったのは、そのおばさんが明らかに外国人のおばさんだったから。



 「あんた…異国の人かい?」

おばさんは驚いたような顔をして、神父さんと同じことを言った。



 「ご、ごめんなさい!」

 私はその場から逃げるように走り去った。



それから、また近くの民家の扉を叩き…
私は狂ったように、同じことを繰り返した。
 何軒も何軒も…



だけど、どの家にいたのも西洋風の外国人ばかり。
 日本人に見える人は一人もいなかった。



 (どうなってるの…?)



 焦りと不安で息が苦しい。
 涙が自然に込み上げて来た。



このあたりには外国人しか住んでない。
しかも、日本語がぺらぺらの外国人ばかりだ。
でも、そんな場所なんてあるだろうか?
おかしい…なにかがおかしい。
でも、混乱しすぎて、何がどうなってるのかがわからない。



 (誰か、助けて……)



 私はもうどうしたら良いのかわからなくなって、その場にしゃがみこんで、泣くことしか出来なかった。

 
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