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別荘にて

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 (……マジ?)



 手に取った小箱には、なんと、蓋がなかった。
 蓋がないというより、継ぎ目や切れ目のようなものがない。
これじゃあ、開けられないのも当然だ。
なのに、小箱を振るとカタカタと中に何かが入っているような音がする。



 (……ん?)



あちこち眺めているうちに、箱の底面に、小さな螺子がついていることに気が付いた。



 (もしかして……)



 何度か螺子を巻いた。
それ以上動かなくなって、その手を離すと、哀愁に満ちた音楽が箱から流れ出した。
 聞き覚えはないはずだけど、なんだかすごく懐かしい気持ちのする旋律に、私は心がざわめくのを感じた。



 「あっ!」



 私は思わず声を上げていた。
なぜなら、どこにも切れ目らしきものはなかったというのに、小箱の上の方が起き上がり、蓋が開いた格好になったからだ。



 (どういうこと??)



 箱の中を見ると、そこには赤い宝石の付いた指輪が入っていた。
 重みのあるその宝石は、とても高貴な輝きを放っていた。
きっと、価値のあるものに違いない。



 (本当に宝箱だったんだ…)



 戸惑いと興奮と…そして、どこか怖い感じもしたけれど、その宝石の美しさはとても魅惑的で…
私は、その指輪をまるで何かに導かれるかのように薬指にさした。
 不思議なことに、サイズはあつらえたようにぴったりだった。



 (えっ!?)



その瞬間、指輪が眩い光を放ち始めた。
 怖くなってはずそうと思ったけど、指輪は私の指に張り付いたかのようにしっかりとくっついていて離れない。
しかも、その光はとにかく眩しくて…
私は目を開けていることが出来ず、固く目を閉じた。
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