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side ひかり
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お客さんが少なくなった隙に、私は本の補充等をしながら、ついでにちょこっとロッカールームに戻り、シュウにメールをしようと考えた。
特に用事っていう用時はないんだけど、「もうちょっとしたら帰るね!」とか他愛ないことを送ると、シュウはすぐに「お疲れさん!」とか「待ってるからな!」とか「頑張れよ!」とか返してくれる。
それを見るだけで、私はどんなに元気が出て来る事か。
(あれっ…?)
携帯を手に取ると、そこにはメールの受信が入っていた。
三十分弱前の受信だ。
仕事中、シュウが自分からメールをして来ることなんて、めったにないのにどうしたんだろう?
何か、急に必要な物でも出てきて、帰りに買って来てくれってことなのかな?…なんて考えながら、メールを開くと、そんなお気楽なことではないことがうかがえる文章が送られていた。
「もしも早退出来そうだったら、すぐにタクシーで帰って来てくれ。」
そこには理由は何も書かれていなかった。
でも、何か大変なことがあったに違いない。
私は、すぐに服を着替え、店長さんには具合が悪いので帰らせて下さいとそれだけ言って、すぐに外へ飛び出した。
そして、駅前でタクシーを拾うとすぐに車内に乗りこんだ。
何があったんだろう?
まさか、シュウの身体になにかが…!?
そんなことを考えると、不安でたまらなくて……
(そうだ!電話してみよう!)
気が動転してた。
まずは、電話をしてみるべきだったんだ。
「はい。」
「シュウ、大丈夫!?
大丈夫なの?」
「全然大丈夫じゃないよ……
今、どこ?」
「全然大丈夫じゃない」って言う割には、シュウの声はいつもと全く変わりなく、どこか具合が悪いようには思えなかった。
「今、タクシーの中、もうちょっとで着くから。
大丈夫じゃないって…どこか痛いの?」
「あ…ごめん。
体調はなんともないんだ。
……とにかく、帰って来たらわかるから…
じゃあ、待ってる。」
そう言って電話は切れた。
身体がどうにかなったってわけじゃないってことがわかっただけでもちょっとほっとはしたけど、逆に怖くもあった。
シュウがつまらないことでわざわざ帰って来いなんて言うはずはない。
(一体、何なのよ……)
思い当たる理由なんてなにも浮かばない。
落ち付かない気持ちであれこれ考えてるうちに、タクシーはうちの前に着いた。
特に用事っていう用時はないんだけど、「もうちょっとしたら帰るね!」とか他愛ないことを送ると、シュウはすぐに「お疲れさん!」とか「待ってるからな!」とか「頑張れよ!」とか返してくれる。
それを見るだけで、私はどんなに元気が出て来る事か。
(あれっ…?)
携帯を手に取ると、そこにはメールの受信が入っていた。
三十分弱前の受信だ。
仕事中、シュウが自分からメールをして来ることなんて、めったにないのにどうしたんだろう?
何か、急に必要な物でも出てきて、帰りに買って来てくれってことなのかな?…なんて考えながら、メールを開くと、そんなお気楽なことではないことがうかがえる文章が送られていた。
「もしも早退出来そうだったら、すぐにタクシーで帰って来てくれ。」
そこには理由は何も書かれていなかった。
でも、何か大変なことがあったに違いない。
私は、すぐに服を着替え、店長さんには具合が悪いので帰らせて下さいとそれだけ言って、すぐに外へ飛び出した。
そして、駅前でタクシーを拾うとすぐに車内に乗りこんだ。
何があったんだろう?
まさか、シュウの身体になにかが…!?
そんなことを考えると、不安でたまらなくて……
(そうだ!電話してみよう!)
気が動転してた。
まずは、電話をしてみるべきだったんだ。
「はい。」
「シュウ、大丈夫!?
大丈夫なの?」
「全然大丈夫じゃないよ……
今、どこ?」
「全然大丈夫じゃない」って言う割には、シュウの声はいつもと全く変わりなく、どこか具合が悪いようには思えなかった。
「今、タクシーの中、もうちょっとで着くから。
大丈夫じゃないって…どこか痛いの?」
「あ…ごめん。
体調はなんともないんだ。
……とにかく、帰って来たらわかるから…
じゃあ、待ってる。」
そう言って電話は切れた。
身体がどうにかなったってわけじゃないってことがわかっただけでもちょっとほっとはしたけど、逆に怖くもあった。
シュウがつまらないことでわざわざ帰って来いなんて言うはずはない。
(一体、何なのよ……)
思い当たる理由なんてなにも浮かばない。
落ち付かない気持ちであれこれ考えてるうちに、タクシーはうちの前に着いた。
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