77 / 171
side ひかり
77
しおりを挟む
(やだなぁ…真っ暗だ……)
考えてみれば、こんなに暗くなってから外に出ることはこのごろ全くなかった。
何度も通った道も、暗いといつもとは違って見える。
自転車を走らせているうちに、シュウに電話をかけ忘れていたことを思い出し、道路の傍に自転車を停めて私はシュウに電話をかけた。
(どうして……?)
何度かけてもシュウは電話に出なかった。
空しく響く呼び出し音に、私の胸には不安が広がる。
もしかしたら、シュウは怒って電話に出ないんだろうか?
さっき、あんな風に電話を切ったから……
とにかく早く帰ってシュウに謝ろう…
その前にバイトのこともちゃんと話さなきゃ…
様々なことを考えながら、私は再び自転車を走らせた。
民家の集まるあたりに来ると、少し明るくなって、それで気持ちも少し落ちついた。
でも、この先には林道がある。
昼間でも寂しい場所なのに、こんな暗い時間にあそこを通るのかと思うと、また気持ちが落ちこんだ。
だけど、そんなことを言っていたら家に帰れない。
(歩いて通ることを考えたらずっとマシよ!)
私はそう考えて、無理に勇気を奮い立たせた。
(平気…平気…こんなのなんてことない!)
自分にそう言い聞かせ、あたりの暗さをなるべく気にしないようにして、私はいつもより力をこめて自転車を漕ぎ出した。
真っ暗な道では、自転車の小さなライトの光だけが頼りだ。
小さいとは言え、これがなかったらもっとずっと怖かっただろうと思う。
その時、向こう側から誰かの懐中電灯らしき明かりが近付いてくるのが見えた。
人がいるという安堵感と同時に、おかしな人だったらどうしようという恐怖心がわきあがる。
何かあったらすぐに逃げられるように、その明かりとは逆の方の端っこを走る。
でも、道幅はそんなには広くない…
もしも、相手がおかしな奴で、しかも素早く力の強い奴だったら……
そんなことを考えると、なおさら私の不安は大きくなって叫び出したいような気持ちになった。
明かりはどんどん近付いて来る……
その時、相手の懐中電灯が明らかに私の顔を直撃し、一瞬、目が眩んで私は何も見えなくなった。
考えてみれば、こんなに暗くなってから外に出ることはこのごろ全くなかった。
何度も通った道も、暗いといつもとは違って見える。
自転車を走らせているうちに、シュウに電話をかけ忘れていたことを思い出し、道路の傍に自転車を停めて私はシュウに電話をかけた。
(どうして……?)
何度かけてもシュウは電話に出なかった。
空しく響く呼び出し音に、私の胸には不安が広がる。
もしかしたら、シュウは怒って電話に出ないんだろうか?
さっき、あんな風に電話を切ったから……
とにかく早く帰ってシュウに謝ろう…
その前にバイトのこともちゃんと話さなきゃ…
様々なことを考えながら、私は再び自転車を走らせた。
民家の集まるあたりに来ると、少し明るくなって、それで気持ちも少し落ちついた。
でも、この先には林道がある。
昼間でも寂しい場所なのに、こんな暗い時間にあそこを通るのかと思うと、また気持ちが落ちこんだ。
だけど、そんなことを言っていたら家に帰れない。
(歩いて通ることを考えたらずっとマシよ!)
私はそう考えて、無理に勇気を奮い立たせた。
(平気…平気…こんなのなんてことない!)
自分にそう言い聞かせ、あたりの暗さをなるべく気にしないようにして、私はいつもより力をこめて自転車を漕ぎ出した。
真っ暗な道では、自転車の小さなライトの光だけが頼りだ。
小さいとは言え、これがなかったらもっとずっと怖かっただろうと思う。
その時、向こう側から誰かの懐中電灯らしき明かりが近付いてくるのが見えた。
人がいるという安堵感と同時に、おかしな人だったらどうしようという恐怖心がわきあがる。
何かあったらすぐに逃げられるように、その明かりとは逆の方の端っこを走る。
でも、道幅はそんなには広くない…
もしも、相手がおかしな奴で、しかも素早く力の強い奴だったら……
そんなことを考えると、なおさら私の不安は大きくなって叫び出したいような気持ちになった。
明かりはどんどん近付いて来る……
その時、相手の懐中電灯が明らかに私の顔を直撃し、一瞬、目が眩んで私は何も見えなくなった。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
赤い流れ星3
ルカ(聖夜月ルカ)
ファンタジー
美幸とシュウ、そして、野々村と和彦はどうなる!?
流れ星シリーズ、第3弾。完結編です。
時空の門をくぐったひかりとシュウ…
お互いの記憶をなくした二人は…?
誤解ばかりですれ違う和彦と野々村は、一体どうなる?
※表紙画はくまく様に描いていただきました。
お題小説
ルカ(聖夜月ルカ)
ファンタジー
ある時、瀕死の状態で助けられた青年は、自分にまつわる記憶の一切を失っていた…
やがて、青年は自分を助けてくれたどこか理由ありの女性と旅に出る事に…
行く先々で出会う様々な人々や奇妙な出来事… 波瀾に満ちた長編ファンタジーです。
※表紙画は水無月秋穂様に描いていただきました。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
裏庭が裏ダンジョンでした@完結
まっど↑きみはる
ファンタジー
結界で隔離されたど田舎に住んでいる『ムツヤ』。彼は裏庭の塔が裏ダンジョンだと知らずに子供の頃から遊び場にしていた。
裏ダンジョンで鍛えた力とチート級のアイテムと、アホのムツヤは夢を見て外の世界へと飛び立つが、早速オークに捕らえれてしまう。
そこで知る憧れの世界の厳しく、残酷な現実とは……?
挿絵結構あります
アルバートの屈辱
プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。
『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる