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2007クリスマス企画

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流れるメロディは軽やかなジングルベル…
街は色とりどりのイルミネーションで煌き、空からはまるで白い花びらのような粉雪が舞い降りて来る…



「架月、遅~~い!」

「ごめん、ごめん!
待たせちゃったかな?」

架月は息を弾ませている。
少し遅れたとはいえ、きっと、全速力で来てくれたのだろう。



「待ったわよ~!
寒くて凍えそうだったわ!」

「どれどれ?」

「あ、架月…だめよ!
皆が見てるじゃない?」

「そんなこと関係ないよ。
僕がユキの身体をこんなに冷たくしたんだから、温めてあげる。」

架月はそんなことを言いながら、往来の真ん中で私の身体を強く抱き締める。



「もう、架月ったら、恥ずかしいじゃない。
それにこんな所にいたら、みんなの邪魔に…」

「ユキ、もう暖まったの?
顔が真っ赤だよ。」

「架月の馬鹿っ!」

私はほっぺたを可愛く膨らませる…



「……なぁ~んてね…」

私は、みかんを口の中にほうりこんだ。



(あぁ~~、みかん食べ過ぎだ…手が黄色くなってるよ。)



冬になると、私は一日の大半をこたつで過ごす。
こたつに入ると自然にみかんに手がのびる。
この習慣はもはや私の冬の風物詩みたいなもんだ。

傍らにあったスマホを手に取る。
その液晶画面には赤いライトをバックに歌うイケメンの青年…

そう、これは「On the mooN」のヴォーカリスト「架月」
私の憧れの人。
とても手の届かない憧れの人…
いや、一度だけ握手をしてもらったことがある。
人気があるとはいえ、まだプロではないから、ツーショットの一枚くらい撮りたいと思えば撮ってもらえるのだけど、本人を目の前にすると恥ずかしくってなかなかそれが言い出せない。
私がなんとか言えたのは「あ、握手して下さい!」という言葉だけだった。



私は特におかしな顔というわけではないけど、決して美人と言う顔ではない。
体格もいたって普通。
自分の容姿にもセンスにも自信がないから、そんなに目立つ格好も出来ない。
だから、何度ライブに行っても架月に顔さえ覚えてもらえない。



(手が届かない人だってことはよくわかってる。
……だけど、妄想くらいしたって良いよね…)



架月を一人占めして、クリスマス・イヴを一緒に過ごせたら…



「あぁぁ……」



先程の妄想が頭の中によみがえる。
街中で、みんなの羨望の眼差しを一身に受けながら、架月に抱き締められる私…



でも、甘い妄想に浸るのは束の間…すぐに理性が私を現実に引き戻す。



(キモ…私って危な過ぎる…!!)


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