あれこれ短編集

ジャック・オー・ランタン

４

＊


 「よし、それじゃあ、これは…と。」

アンガスの首からロザリオをはずしました。


 「覚えとけよ！
 絶対、許さないからな！」

アンガスはそう言うと、テーブルを力任せに殴りつけました。



 「そう怒るなって。
 今から食事にでも行こうじゃないか。
それに金も渡す…」

 「金だと…たいした金も持ってないくせにいいかげんなことを言うな！」

 「これがあるじゃないか。」

ジャックは、ロザリオをアンガスの前に差し出しました。


アンガスのしびれが切れかかると、ジャックは、アンガスに契約書を書かせました。
ジャックの死後、その魂を地獄には決して連れて行かないという契約です。
それは、アンガスに限らず、全ての悪魔にとって有効だと書かれてありました。


これで、死後は間違いなく天国に行けると、ジャックはたいそう上機嫌でした。

ジャックは、ロザリオを売り払い、その半分をアンガスに手渡しました。
 契約書は書かせたものの、相手は悪魔…仕返しをされてはかなわないと考えたのです。
 二人で、うまいものを食べ、たらふく酒を飲みました。


その後のジャックは、さらに素行が悪くなっていきました。
どんなに悪いことをしても天国に行けるのだという安心感から、やりたい放題です。
すっかり町の鼻つまみ者となってしまったジャックは、ある時、酒に酔い、川に落ちてそのまま死んでしまいました。