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子鬼と姫

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その日、大半の姫様達はクリストファーの発表にショックを受けてさっさと帰国したが、ジョセフィーヌは観光をしてから帰ると言い出した。
すると、大臣達が慌てて案内を買って出て、オイラ達をいろんな所へ連れて行ってくれた。
ジョセフィーヌが大臣達と昼ご飯を食べてる間、オイラは一人で近くの森の中を散歩することにした。



『あなたね!』

背後から不意に声をかけられ、驚いて振り向くとそこには一人の小さなフェアリーがひらひらと舞っていた。



『なんだ、何がオイラなんだ?』

『あなた有名よ!
人間に飼われてるおかしなゴブリンがいるって!』

『飼われてる?
おかしなことを言うな。
ジョセフィーヌはオイラのことを弟だって言ってくれてるんだぞ!』

『弟~?』

フェアリーは、甲高い声を上げて笑い始めた。



『あなたみたいな醜いゴブリンのことを弟だなんて思う人間がいるわけがないじゃない。
あなたは、その人間に良いように利用されてるだけ。
あなたを利用するためにそんなことを言って騙したのよ。』

『違う!オイラとジョセフィーヌが出会ったのは、彼女がまだ小さな子供の頃だった。
子供がそんなこと考えられるわけがない。』

『あなたって本当にお人良しね。
でも、村を潰すとかなんとか言って脅かされて、彼女のために悪さばかりしてるらしいじゃないの。
そうだ!この国ならあなた達が住むのにちょうど良い洞窟もたくさんあるわ。
そんなわがままな姫様なんかと別れてこの国に来なさいよ!
人間に飼われてるなんて、かっこ悪いわよ。』

『違う!
オイラは…別に脅されてやってるわけじゃない。
彼女が本当にそんなことするわけないのはわかってるんだから。
オイラは姫様を信じてる。』

『まぁ…!まだそんなこと言ってるの?』

『姫様は、本当はとても優しい子なんだ。
オイラは姫様が小さな時からずっと一緒だからよくわかるんだ。
そりゃあ、たまにはわがままなことを言うこともあるけど…でも、とっても良い子なんだ。』

『……これは相当重症だわ。
すっかり騙されてるのね。
良い?あなたみたいな醜いゴブリンを…』



「誰が醜いですって…?」



そこには、腰に両手を当てたジョセフィーヌが怖い顔をして立っていた。
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