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僕の大切な黒猫

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「ふん、昔の猫は、人間の残り物を食べたものだが、こいつは贅沢ばかりしおって。
ライアン…おまえ、こいつを甘やかし過ぎじゃないのか?」


気がつけば、いつの間にか、ハロウィンから数ヶ月が経っていた。
父さんは、兄さんを飼うことを許してはくれたけど、兄さんを見る度に悪態を吐く。
でも、特にいじめたりはしないから、それで良しとするしかない。



「マイケルもマイケルだ。
うちの息子共は、どっちも親不孝な奴だ。」

父さんは手紙をばん!とテーブルに叩き付けた。



都会に住む友達の友達に、僕は手紙を投函してもらうように頼み込んだんだ。
兄さんになりすまして、僕がちょっとした近況をタイプで打って、それを父さん宛に送ってもらってる。
そうすれば、消印を見て、兄さんが都会にいると思うはずだから。



最初の頃はあちこちに連絡して兄さんを探そうとしていた両親も、手紙を送ってからはそういうこともやめた。
きっと、安心したんだ。

だけど、ロザリオはまだみつからない。
両親やうちで働いてくれてる人達にも、ロザリオを探してることを話したけど、誰もそんなものは見た事がないと言う。



もし、みつからなかったら、僕はどうすれば良いんだろう?
兄さんを猫にしてしまった償いなんて、どうやっても出来ない。
僕に出来るのは、一生、兄さんを大切に育てることだけだ。
でも、猫の寿命は人間よりはずっと短い。



(僕は、兄さんの命を縮めてしまうことになるんだ……)



そんなことを考えると、罪悪感に押し潰されそうになってしまう。
本当にえらいことをしてしまった。



みつけないと…
なんとしても、ロザリオをみつけて兄さんを元の姿に戻さないと……!



そう思う気持ちは強いけれど、「こんなに探してみつからないんじゃ、きっともうみつからない。」そんなことを考えてしまうこともあった。
いや、きっと、それが僕の本音なんだ……

 
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