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小さな魔法☆彡

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小さな溜め息を吐いた私はゆっくりと顔を上げた。
 澄みきってはいなくとも、空にはそれなりの星が輝く。
 公園のベンチに腰掛け、顔を巡らせて、私は空の異変に目を凝らす。
これは、寂しい時や悲しい時にする私の癖。
 私が探す空の福音は、父が忌み嫌っているもの。



私の母は娘の私を産み落とすと同時に亡くなり、その頃ちょうど窓から星が流れるのを見たとかで、以来、父は流れ星を死の象徴として考えるようになったそうだ。
今はこんなに元気だけれど、本当は私自身も危なかったらしい。
医者達はおそらくどちらも駄目だと予測していたらしいのだけど、奇蹟的に私はこの世に産まれる事が出来た。
それはきっと母が自分の命を賭けて私を守ったんだって…
祖母や父は、私が小さい頃からずっとそんな風に話してくれた。

 母は死ぬ間際、最後の力を振り絞って、私に「小夜」という名を遺してくれた。
私への最初で最後の贈り物。
父はその時の話を何度も話してくれたけど…
私は大きくなるにつれ、それは「さようなら」と言おうとしたんじゃないかって…そんな風に思うようになった。
……でも、たとえそうだったとしても、私はこの名を気に入っている。
母の最期の想いがこもった大切な言葉だから。



 小さい頃、祖母と一緒に流れ星を見た事があった。
その時、私が「星が流れたから誰かが死んだんだね。」って言ったら、祖母はどこか悲しそうな顔をしてこう言った。
 「そうじゃないよ。流れ星を見ると良い事があるんだよ。
星が流れたすぐ後で小夜が無事に生まれたんだからね。」って。
父の話とは正反対のその言葉に、私は戸惑いを感じたけれど、でも、その話は妙に心に残り……
やがて、いつしか流れ星は私の福音となった。



(……あ!)



さっと通り過ぎた小さな星に俄かに頬が緩む。
きっと、もう大丈夫。
 流れ星のおかげで、急に軽くなった心と共に私は立ち上がった。 
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