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ゆっくりと彼の顔が近付いてきて、彼の唇が優しく重なった。



セバスチャンとキスするのはこれが二度目。
最初は泣きそうなくらい、最悪のキスだった。
だけど、二回目は甘くて優しくて、ふわふわと飛べそうなくらい、心地好い。



「すまない。まだ慣れてないんだ。」

「え?」

「下手だから笑ったのだろう?」

「ち、違います!
私、嬉しくて……」

「まさか……」

えー、私、笑ってた!?
恥ずかしいな。
そんなに嬉しかったんだ。
でも、セバスチャンに誤解させたらだめだよね。



「時に、君は元の世界では結婚してたのかい?」

「いえ、まだです。」

「信じられない。
君みたいに美しい人がまだ独り身だったとは。
君の世界では、もしや女が多いのか?」

「いえ、そうではありません。
正直に言うと、確かにたくさんの方から告白は受けました。」

「告白?」

「はい、あなたに好意を持ってますということを伝えるのです。
それで、相手がその気持ちを受け入れたら、二人は恋人同士となり、付き合い始めます。」

「なんと、君たちの世界は手順が多いのだな。」

セバスチャンは、とても驚いたみたいだ。
そうなのかな?
こっちの世界には告白はないのかな?
あ、セバスチャンは王族だから?
シャール王子みたいに、気に入った子をみつけたら、すぐ結婚!?
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