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女王の器として置かれていた時とは違う部屋に、私は通された。
前の部屋もけっこう豪華だったけど、今回の部屋も広い。
私は具合が悪いことを言って、横にならせてもらった。



ふかふかのベッドに寝て、目をつぶると、さっきの殺人のシーンが頭に浮かび、私は飛び起きた。
脈がすごく速い。



確かに、クラウディアは悪い奴だ。
セバスチャンがされたことを考えれば、当然なのかもしれない。
だけど、やっぱり殺すのは違う気がする。
そう思うのは、私がここの出身じゃないからかな。
私のいた世界では、人殺しは犯罪でしかない。
どんな理由があろうとも、人殺しを肯定することはない。



だけど、ここでは違う。
誰も、セバスチャンを非難しない。
クラウディアの亡骸を見ても、みんな、ちょっと驚いたくらいのものだ。
侍女さん達も、悲鳴をあげる人さえいなかった。



でも、戦争が起きてるわけでもないんだから、そんなに殺人が日常茶飯事だというわけでもないんだけどなぁ。
再び、横になる。



(あ……)



そこで私は重大なことに気が付いた。
クラウディアが殺されたってことは…
私はもう元の世界に戻ることは出来ないってこと。
絶望で目の前が真っ暗になった。
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