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「お酒でももらってきましょうか?」

「いや…大丈夫だ。」

セバスチャンは、真面目というか、あまりお酒を飲まない。
食前酒を少し飲むくらいだ。
あんまり好きじゃないのかな?



とりあえず、なにがあるかわからないから、私はローブに着替えておいた。
これならすぐには、女王の器だった私だとは気付かないだろう。



でも、どうするつもりなんだろう?
女王と話し合うの?
そもそも、城の中に入ること自体、無理なんじゃないだろうか?
セバスチャンは、深刻な顔をして黙り込んでいる。
話しかけようにも、話しかけにくい。
だから、私も黙っていた。
部屋の雰囲気は気まずいけれど仕方がない。



「そろそろ行こう。」

「え?は、はい。」

あたりが薄暗くなって来た頃、おもむろにセバスチャンが立ち上がった。
いよいよ行動開始だね。
なんだか不安だけど、私はとりあえずセバスチャンについて行くよ。
今はセバスチャンを信じるしかないんだし。



でも、歩き出したセバスチャンの後ろ姿を見ていたら、やっぱりとても不安な気持ちになった。
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