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王子は、私のことをみつめている。
なんだろう?
失敗はしてないはずだけど。



その王子が、つかつかと私に歩み寄り…
え?何なの??



「そなた…名はなんという?」

「は、はい。
ミライと申します。」

「ミライか、変わっているが良き名だ。」

「あ、ありがとうございます。」

私が頭を下げている間に、王子は立ち去っていた。
あぁ、びっくりした。
たまたま目があったから、名前を聞かれただけだったのかな?







「えっ!?なんですって?」

「何度も言わせるな。
今日からそなたは、シャール王子付きの侍女となる。
シャール王子の第3侍女だ。」

「えっ!」

そりゃあ、びっくりするでしょう。
突然、シャール王子付きの侍女に替わるなんて。
王子といえば、この国の時期後継者。
マーガレット様より位は上だ。
しかも、第3って…
王子の侍女ならたくさんいるよね。
普通なら最下位に付くんじゃないの?
なんで、第3なの?
第3までは、衣類の脱ぎ着やお風呂のお世話やら、特に身近なお世話をする係なのに。



なんか気になる。
かなり気になる。
理由がわからないもの。
私、マーガレット様のお世話で特にほめられたことなんてないのに。



でも、ここでは命じられたことを遂行するしかない。
理由なんて、多分、聞いても答えてはもらえない。



(仕方ないよね…)



私は気持ちを切り替え、荷物をまとめた。
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