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「そういえば、ベルガアートの新しい女王の器が決まったって話だぜ。」

「えっ!?」



私が逃げ出してから、1ヶ月半位になるかな?
そっか、決まったんだ。
私の代わりの人が…



そう思ったら、罪悪感のようなもので苦しくなったけど、でも、私も被害者だもん。
私が悪いわけじゃないよね?
悪いのは女王だよ。



今回は多分、この国の人だ。
私と同じ異世界の人なら、きっともっと時間がかかるはずだ。



「どうかしたのか?顔色が良くない様だが…」

「な、なんでもない。」



そうだ。私にはどうにも出来ないことだ。
気にしても仕方がない。



(え!?)



突然、目の前に小瓶が差し出された。
色から推測すると、どうやらお酒のようだ。



「……やるよ。」

ぶっきらぼうに、ダグが言う。



「ありがとう。」

私は小瓶を受け取り、一気にそれを煽った。
胃が熱くなり、喉が焼け付く。
けっこうきついお酒みたいだ。



(ダグ、良いとこあるな。)



少しだけ、見直した。
ダグのそのお酒のせいで、私は程なくして意識を失い、深い眠りに落ちて行った。
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