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「あ、そろそろ行かないと、馬車が出てしまう。」

「えっ!?早く言ってよ!」

私たちは慌てて、町のはずれに向かって駆け出した。
そこではちょうど馬車が出発の準備をしているところだった。



「待ってくれ~!
俺たちも乗せて行ってくれ!」







「あぁ、危なかった。
危うく乗り遅れるところだったな。」

「間に合って良かったよ。」

私たち二人が乗ったことで、馬車の中は満員になった。
歩くよりはだいぶ早いとは聞くけど、狭いし揺れるし、乗り心地は良いとは言えない。
でも、仕方ないな。
我慢するしかない。



揺れるから話もしにくいし、退屈だからかみんな寝てるよ。
ここにはスマホもないもんね。
ふと見たらダグも寝てたから、私も目を瞑った。



「おい、起きろ。」

「え?」

いつの間にか、すっかり眠ってたみたいだ。
思ったより早かったね。
まだ明るいけど、もう着いたの?



「ここで昼飯を食べていくらしい。」

「そうなんだ。」

そうだよね。
まだいくらも走ってない感じだもんね。
お昼ご飯を食べて休憩するんだね。



そこは小さな町だったけど、
馬車が止まるせいか、食堂はあった。
その店で乗客や御者はお昼ご飯を食べて、満員の馬車はまた走り始めた。
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