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なるほど、お婆さんはあまり元気そうに見えないし、一人で放っておけないから、ここを宿屋代わりにしてお金を稼いでるってわけなんだね。
なかなか良い案だと思うよ。
育ててもらった恩を忘れないのも、良い事だよね。



「お客さんは良く来られるんですか?」

「いや、そんなにはいないな。
3日に1回くらいかな?
俺も畑仕事があるから、ずっと街道に立ってるわけにはいかないし。」

「看板を立てたらどうですか?」

「看板?」

「はい、宿があることを書いておくんです。
それと、街道からここまでの地図を。」

「あんた、なかなか頭が良いな。確かにそうすれば、今より客が増えるかもしれない。
早速、そうさせてもらうよ。」


男性は、ジャックという名で、二十歳だと言っていた。
なかなか話し好きのようで、私にもいろいろと質問をして来たけれど、異世界から来たことは言えないから、曖昧に答えた。



祖父が生きていた頃は、旅人を無償で泊めていたらしい。
当時はならず者の町もまだ出来ていなかったみたいだ。
意外とあの町の歴史は浅いんだね。
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