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良い所はないかと、キョロキョロしていたら...



「ちょっと、あんた...」

振り返ると、若い男性が立っていた。
私よりも若そうだ。



「な、何か?」

私は極力、低い声で答えた。



「あんた、旅人じゃないのか?」

「え?ま、まぁ、そうだが。」

「うちに泊めてやろうか?」

「え!?」

「夕飯と朝食付きで、50ソラムでどうだ?」



セバスチャンの話によると、宿屋はたいてい1泊2-30ソラムらしいから、食事付きとしてもやや高い。
でも、ぼったくりという程ではない。



「お願いします。」

野宿よりは良いと思い、即決した。



「よし、決まりだな。
じゃあ、行こうか。」

男性が前を歩き、15分くらい歩き続けた先に、家はあった。
大きな家ではないけれど、セバスチャンの家よりは広いし、しっかりもしている。



「さ、この部屋を使ってくれ。」

通されたのは小さな部屋だったけど、ちゃんとしたベッドがあるだけでもマシだ。
片隅に荷物を置いて、ベッドに横になった。
セバスチャンの家の長椅子よりは確かにずっと寝心地が良さそうだ。



(あぁ、疲れた......)



夜明けからずっと歩いて来たんだもん。当然だよね。
あぁ、お腹も空いた。
でも、こうしていると、寝てしまいそうだ。
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