上 下
40 / 188

40

しおりを挟む
良い大学を出てたって、英会話が出来たって、何の役にも立たない。
こういう世界では、やっぱり力だよね。
こんなことなら、ジムにでも通って鍛えておけば良かったよ。



それと、料理。
もし、包丁で指でも切ったら大変だからって、料理は拒否してた。
子供の頃からピアノは弾いてたけど、別にピアニストでもないのにね。
単に家事が嫌いだから、言い訳に使ってただけだ。



(私って、役立たずだ。)



嫌いだけど、明日は掃除でもしとこうかな。
全く何もしないんじゃ、気が引ける。
というか、退屈なんだよね。
何もすることがないから、寝てばかりいる。
その間、セバスチャンは必死に働いてるのに。



やっぱり、良い人だよね。
でも、どうしてそこまでしてくれるんだろう?
私と暮らせるから?
そう思うと、少し気持ち悪い気がした。
感謝はしてるけど、好かれたくは無い。



今まで、告白して来た人を振りまくった報いなのかな?
よりにもよって、セバスチャンみたいな人に助けられるなんて。



そんなことを思う自分自身を嫌悪した。



(私って、嫌な奴……)



しおりを挟む

処理中です...