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「とにかく、身なりをなんとかしなくちゃな。ちょっと待ってくれよ。」

セバスチャンは自分が着ているものと同じような黒いローブを私の前に差し出した。



「この方が良いだろう。」

「あ、ありがとうございます。」

ローブはゆったりしてるから、パッと見て男性か女性かわかりにくい。
それに、大きなフードが付いてるから、それをかぶれば、顔もほぼ見えない。
首の周りに、何かスカーフ的なものを巻いたら、さらに良いかもしれないね。



「今はまだ兵士達がこのあたりをうろついてるだろうから、しばらくはここにいた方が良いだろうな。」

「いても良いんですか?」

「あぁ、構わないぜ。」

「あ、ありがとうございます!」

今は、セバスチャンしか頼れる者がいない。
申し訳ないけど、甘えさせてもらおう。



セバスチャンの言う通り、兵士たちがいなくなるまでは動かない方が良さそうだ。
女王様、私がいなくなってどうするのかな。
今の体はもうあまり使えなさそうだから、とりあえず、この世界からまた誰か選ぶのかな。
あの体の寿命はあと数ヶ月って言ってたね。
あと3ヶ月として、引き渡す前には3週間かかるし、となると、私を必死で探すのは2ヶ月ちょっとかな。
その間、ここで身を潜めていればなんとかなる?
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