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決意

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 「ベルナール、あんなこと言ったら、サマンサがまたルークに酷い仕打ちをされるじゃないか。
そりゃあ、サマンサじゃあんたを楽しませることなんて無理だと思うけど…」

オルジェスのその言葉に、ベルナールは僅かに口端を上げた。




 「オルジェス…私は彼女を抱いてなどいない。
 彼女とは一晩中話をしていたんだ。」

 「抱いてない?…それに、話って……一体、どういうことなんだ?」

 長椅子に腰掛けたオルジェスは、身を乗り出して向かいに座るベルナールに問いかけた。



 「ところで、昨夜はどうしてたんだ?」

 「どうって……いつもと一緒だよ。
 酒場に行って飲んで、それから女の所に行って…
そんなことより、さっきの…」

 「ルークは、サマンサのことを気にはしていなかったか?」

オルジェスが話し終える前に、ベルナールはさらに問いかける。



 「え?……あ、あぁ……
あいつ…面と向かっては言わないけど、本心ではサマンサに情を持ってると思うんだ。
 多分、サマンサに冷たくしてるのは、わざと嫌われることをしてサマンサを家に戻そうとしてるんと思う。」

 「……やはり、そうか……」

 「やはりって…それじゃあ、あんたはそのことに気付いてたのか?」

ベルナールは黙って頷いた。



 「当然だ…ルークのサマンサへの気持ちはすぐにわかった。
それに、サマンサはルークのことを本気で愛してる。
ルークの気持ちは今はまだ恋愛感情ではなく、家族としての愛情かもしれないが、サマンサは完全にルークのことを男として愛している。
ルークを立ち直らせるために哀れに思える程、懸命だ。
 実はな……昨夜、サマンサにルークのことをすべて話した。」

 「す、すべてって…
あいつの母親のことや、あいつが悪魔の器に使われようとしていたこともか!?」

 「あぁ…そうだ。
 何もかもすべて話した。
サマンサはそれを聞いて酷くショックを受けていた。
もちろん、あまりにも突拍子もない話だから、まだぴんと来ていないことも多いとは思う。
 殊に、トレルがイアンを殺して悪魔になったことなどはまだどこか信じられないようだ。
 無理もない…
 ……しかし、ルークの秘密を知ったことで、彼女は今までよりもさらにルークを救いたいと本気で思ったようだ。
 本当に良い子だよ、サマンサは…」

 「そうだったのか…サマンサに話したのか…」

オルジェスは、放心したようにそう呟いて顔を伏せた。
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