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復讐の連鎖

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「まずは瞬間移動だな。
……そうだ!
それと、前から気になってたんだが、悪魔には相手の居場所を探ることは出来るのか出来ないのかどうなんだ?
エルスールは、いつも俺の居場所を知っていた。
だが、あんたにはオルジェス達の居場所はわからないのだろう?」

アズラエルは、意味ありげな笑みを浮かべた。



 「それは、偏にエルスールの君への愛情の賜物だな。
 相手との関わりが深ければ深いほど、相手の居場所を感じやすいのは確かだ。
とはいっても、この世には多くの生き物が住んでいる。
その中からたった一人を探し出すのは、容易いことではないのだぞ。」

 「そうだったのか…エルスールは、いつもすぐに俺をみつけてくれていた…
都合の悪い時でもいつでもな…」

トレルはそう言って、苦い笑いを浮かべた。



 「彼女は、君にぞっこんだったからな…
それに、君は気付いていないかもしれないが…おそらく、君の心の底にも常に彼女がいたんじゃないだろうか?
 君達は、それほど深い絆で結ばれていたんだな…」

トレルは黙ったままで、短くなった煙草を灰皿に押しつけた。



 「……なぁ、アズラエル…
 ……人間ってものは、本当に馬鹿だよな。
 大切なものはなくしてからじゃないと、その大切さに気付かない。
 自分がどれほどそれを大切にしていたか、愛しいものだったかは…それをなくしてみないと気付かないなんてな……」

トレルの目尻には、きらりと光るものが浮かんでいた。



 「……それは人間だけではないさ。
 私は思うよ。
そのことに気付けただけでも、幸せなのではないかと、な…」

トレルは、ゆっくりと頷き、指先でそっと涙を拭う。



 「最近のあんたは本当にイアンに似てるよ。」

トレルの呟きに、二人は顔を見合せて微笑んだ。 

 
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