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復讐の連鎖

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 「そうか…
ランディもわかってくれたか…」

トレルは、そう言ってゆっくりと煙草の煙を吐き出した。




 「無論、まだ完全に心の整理がついたわけではないだろうが、あの場所を離れることが得策だということは感じているようだった。」

 「そうか……
それにしても、もう少し早くにサーリックに行っていれば…」

アズラエルは俯き加減に首を振った。



 「いや…残念だがきっとこれは避けられなかったことだと思う。
もしも、早くに気付いてサーリックに行き、ランディの屋敷が無事だったら、きっと見当はずれだったのだと考えて私達は引き返していただろうからな。
よほどの幸運に恵まれ、たまたまルークやオルジェスの姿でも見つければ注意も出来るだろうが、たとえ助けるチャンスがあったにしても、必ずしもそれを活かせるとは限らない…
そこが辛い所だな…」

 「でも、俺に瞬間移動が出来ていれば、もう少し早くサーリックに行けたんだ。
そうすれば、たとえ火事には間に合わなかったとしても、ランディももっと家族の力になれただろうに…
 ……コージーが死んだんだぞ…キャシーもきっと心細かった筈だ。」

 「……トレル、済んでしまったことをあれこれ考えた所で、現実は何も変わらんのだ。
 『あの時、こうすれば…』なんてことは、過ぎてしまったからこそ考えられることなのだ。
その時に出来る事は限られている。
それは、誰にもどうにもならんことなのだよ。」

トレルは束の間アズラエルの顔をみつめ、失笑する。



 「なぜ、笑う?」

 「……まるで、イアンと話してるみたいな気分になってな。」

その言葉に、アズラエルは言い返す言葉をすぐにはみつけらずに口篭もる。



 「初めて会った時のあんたは、今とは別人のようだったな。
 氷のように冷たく、相手に対して砂粒程の情けさえかけることはしなかった…」

トレルの遠い目は、その頃のアズラエルをはっきりとみつめているようだった。

 
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