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さらなる復讐
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「ずいぶん遅いね。
君の弟さんが心配だ。」
シャールは、ワイングラスをテーブルに置き、何かを考えるようにじっと一点をみつめる。
あれから、ベルナールはシャールに屋敷の中を案内され、ここのことをいろいろと教わった。
この屋敷には、シャールの他には数人の使用人がいるだけだということだった。
シャールは、昨年からこの屋敷でエドガーの愛人として暮らしているらしい。
「もしかして妬いてるのかい?
弟なら大丈夫さ。
あいつはあれでもけっこう丈夫に出来てるんだ。」
「エドガー様は、特別だよ。
人間だったら簡単に命を落とすくらいにね…
実は先月、ここにいた友人が死んでしまってね…
……だから君達が来てくれて本当に良かった…僕一人じゃ身体がもたない。
妬くなんてとんでもないよ。」
シャールの言葉には実感がこもっていた。
その証拠に、ライバルであるベルナールにも意外な程に親切だった。
「君はエドガー様を愛してないのか?」
「……もちろん、愛してるさ。」
シャールの顔に不自然な笑みが浮かんだ。
「あ…ワインがもうないね。
もう一本開けよう。」
シャールは、そう言いながら立ち上がる。
(……なるほど…
こいつも、訳ありってことだな。
まさか、心臓を狙ってるとは思えんが…
大方、エドガーに気に入られてて無理やりここへ連れて来られたか何かだろう…
それにしても、男色の悪魔というのは不思議と似ているものだな…
何と言ったか…ジェロームに食われた悪魔…
あやつもエドガー様にどこか似ていたな…)
ベルナールは、哀れなアレクシスのことを思い出し、込み上げるおかしさに肩を震わせた。
「今度も渋めのやつで良いよね?
……お腹はすいてない?
何か、食べるかい?」
ワインの瓶をテーブルに置き、慣れた手付きで栓を回し抜きながら、シャールが尋ねた。
「ずいぶん遅いね。
君の弟さんが心配だ。」
シャールは、ワイングラスをテーブルに置き、何かを考えるようにじっと一点をみつめる。
あれから、ベルナールはシャールに屋敷の中を案内され、ここのことをいろいろと教わった。
この屋敷には、シャールの他には数人の使用人がいるだけだということだった。
シャールは、昨年からこの屋敷でエドガーの愛人として暮らしているらしい。
「もしかして妬いてるのかい?
弟なら大丈夫さ。
あいつはあれでもけっこう丈夫に出来てるんだ。」
「エドガー様は、特別だよ。
人間だったら簡単に命を落とすくらいにね…
実は先月、ここにいた友人が死んでしまってね…
……だから君達が来てくれて本当に良かった…僕一人じゃ身体がもたない。
妬くなんてとんでもないよ。」
シャールの言葉には実感がこもっていた。
その証拠に、ライバルであるベルナールにも意外な程に親切だった。
「君はエドガー様を愛してないのか?」
「……もちろん、愛してるさ。」
シャールの顔に不自然な笑みが浮かんだ。
「あ…ワインがもうないね。
もう一本開けよう。」
シャールは、そう言いながら立ち上がる。
(……なるほど…
こいつも、訳ありってことだな。
まさか、心臓を狙ってるとは思えんが…
大方、エドガーに気に入られてて無理やりここへ連れて来られたか何かだろう…
それにしても、男色の悪魔というのは不思議と似ているものだな…
何と言ったか…ジェロームに食われた悪魔…
あやつもエドガー様にどこか似ていたな…)
ベルナールは、哀れなアレクシスのことを思い出し、込み上げるおかしさに肩を震わせた。
「今度も渋めのやつで良いよね?
……お腹はすいてない?
何か、食べるかい?」
ワインの瓶をテーブルに置き、慣れた手付きで栓を回し抜きながら、シャールが尋ねた。
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