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ゲームの始まり
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「トレル…わかっていますね…
あなたは私の心臓を食べて、生きるのです…
たとえ、その身が悪魔になろうとも…心には神を宿して…」
「な…なんてことを…
そんなことをしても…どうせ、俺の身体もうは…」
「私の心臓だけではなく、肺も食べなさい…
そうすれば…あなたのその肺は…また元気に…」
イアンの息遣いが荒くなり…額にはうっすらと汗が滲んでいた。
「ば…馬鹿野郎…!
お…俺はそんなもの…食べない…」
「トレル…
あなたは、オルジェスを…自分の息子を親殺しにするつもりですか!!
あなたが死んでしまったら…あの子は、取り返しのない大罪を背負ってしまうことになる…
あなたにはあの子を救う義務があるのです…
あなたは、父親なのですから…
命がけであの子を産んだエルスールのためにも…」
「イアン……」
「ランディさん…トレルがいやだと言っても…
無理に口の中に押しこんで下さい…
どうか…どうか…これからも、トレルのことを…
オルジェスやルークのことを…よろし…く……」
イアンの言葉が途絶え、その身体はそのままゆっくりと後ろに向かって倒れこんだ…
「イアン…イアン…
どうした…イアン…」
ランディは、トレルの方を向いて悲しげに首を振った、
「イアン…!!」
叫ぶトレルの口からは、また赤黒い血の塊が溢れ出た。
「トレル…イアンさんの死を無駄にするな…!」
トレルはその言葉に何もいわずただ涙を流すだけだった。
「馬鹿野郎!
ここで、あんたが死んだら、イアンさんは何のために死んだのかわからないだろ!
イアンさんの言った通りだ…
あんたには、泣いてる暇も倒れてる暇もないんだ!
オルジェスを止めなきゃならん!
あいつと話しあって、奴をまともな道に戻さなきゃならないんだ!」
そう言うと、ランディはトレルの元を離れ、イアンの胸に突き刺さる短刀で彼の胸を切り裂き、その心臓を取り出した。
「……トレル……
あんたがいやだって言っても俺は…」
トレルは、ランディが言葉を言いきらないうちに、その心臓を口に運んだ。
生臭い血と肉の味も、もうトレルには感じられなかった。
何も考えず…何も感じることなく…
トレルは、イアンの最期の言葉に従った…
あなたは私の心臓を食べて、生きるのです…
たとえ、その身が悪魔になろうとも…心には神を宿して…」
「な…なんてことを…
そんなことをしても…どうせ、俺の身体もうは…」
「私の心臓だけではなく、肺も食べなさい…
そうすれば…あなたのその肺は…また元気に…」
イアンの息遣いが荒くなり…額にはうっすらと汗が滲んでいた。
「ば…馬鹿野郎…!
お…俺はそんなもの…食べない…」
「トレル…
あなたは、オルジェスを…自分の息子を親殺しにするつもりですか!!
あなたが死んでしまったら…あの子は、取り返しのない大罪を背負ってしまうことになる…
あなたにはあの子を救う義務があるのです…
あなたは、父親なのですから…
命がけであの子を産んだエルスールのためにも…」
「イアン……」
「ランディさん…トレルがいやだと言っても…
無理に口の中に押しこんで下さい…
どうか…どうか…これからも、トレルのことを…
オルジェスやルークのことを…よろし…く……」
イアンの言葉が途絶え、その身体はそのままゆっくりと後ろに向かって倒れこんだ…
「イアン…イアン…
どうした…イアン…」
ランディは、トレルの方を向いて悲しげに首を振った、
「イアン…!!」
叫ぶトレルの口からは、また赤黒い血の塊が溢れ出た。
「トレル…イアンさんの死を無駄にするな…!」
トレルはその言葉に何もいわずただ涙を流すだけだった。
「馬鹿野郎!
ここで、あんたが死んだら、イアンさんは何のために死んだのかわからないだろ!
イアンさんの言った通りだ…
あんたには、泣いてる暇も倒れてる暇もないんだ!
オルジェスを止めなきゃならん!
あいつと話しあって、奴をまともな道に戻さなきゃならないんだ!」
そう言うと、ランディはトレルの元を離れ、イアンの胸に突き刺さる短刀で彼の胸を切り裂き、その心臓を取り出した。
「……トレル……
あんたがいやだって言っても俺は…」
トレルは、ランディが言葉を言いきらないうちに、その心臓を口に運んだ。
生臭い血と肉の味も、もうトレルには感じられなかった。
何も考えず…何も感じることなく…
トレルは、イアンの最期の言葉に従った…
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