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ゲームの始まり

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ランディは町の自警団の男達に、ローリー誘拐の話を打ち明けた。
早速、村の者達に不審者を見かけた者はいないかと聞き回ったが、それらしき者達を見かけたという話は一つも聞かれなかった。
なにしろサーリックの村の人口は少なく、その者達が出掛ける場所といえば畑や村に数軒しかない雑貨屋と集会所くらいのものだ。
それ以外の場所に何者かが潜んでいたとしても、そのことに気付く者はまずいない。
この村では、昔、一度だけフォーラスによって次元の狭間に村人が連れ去られるという事件はあったものの、その他の事件といえば、村を通過した旅人が野菜をいくつか盗った程度のものだった。
それだけに、村人達の日頃の警戒心や観察力も鈍い。
そのことが余計に犯人への手掛かりを探す邪魔をしていた。







「サマンサ、気分はどう?
少しで良いから、何か食べないと身体に悪いわよ…」

サマンサの部屋に、キャシーが昼食を運んだ。
しかし、二人は、料理を前にしながら、それにはまるで手を付けようとはしなかった。



「私は良いから…母さん、食べて…」

「だめよ、少しで良いから食べなきゃ…
こんな時にあなたまで倒れたら…」

そういうキャシーの瞳が涙で潤んでいることをサマンサは見逃さなかった。



「……母さん、何かあったの…?」

「あなたは心配しなくて良いのよ…」

「母さん…心配って…何があったの?
教えて!」

「……サマンサ……」

サマンサは昔から勘の良い娘だった。
このまま隠していることはきっと出来ないと感じたキャシーは、ローリーの失踪のことを話した。



「父さんは、きっと誰かにさらわれたんだろうって言ってるわ…
部屋の窓が開けっぱなしになってたそうよ。」

「ローリーが……!!」

サマンサは、火が付いたように大きな声で泣き出した。



「大丈夫よ、サマンサ…
ローリーはきっと大丈夫だから、泣かないで…」

「母さん……私を、少し、一人にして…
お願い…」

「わかったわ……」

サマンサを一人にする事には不安もあったが、今はきっと母親とも一緒にはいたくないのだろうと考え、サマンサに言われるままに、キャシーは部屋を出た。

 
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