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運命の出会い

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「ジェローム……どうぞ、召しあがれ…」

頭から真っ赤に染まったベルナールが、アレクシスの心臓を手の平に乗せ、差し出した。



「これは新鮮だな…まだこんなにうごめいている…」

ベルナールと同様に赤く染まったジェロームは、微笑みながら受け取った心臓を口に運んだ。



「……なかなか美味いものだな…
牛の肉よりも断然美味い…」

その様子に、ベルナールが突然大きな声を上げて笑い始めた。



「……どうしたのだ?」

「裸で生の心臓を手掴みで…
まるで原始人ではないか…
伯爵ともあろうお方が、なんとはしたない…」

「そういう貴公も、まるで大きなにんじんではないか。
上から下まで真っ赤だぞ…」

「にんじんとは酷いな…」

二人は顔を見合わせて笑った。
腹の皮がよじれるほどに…



「こんなに笑ったのは、久しぶりだ…
貴公のように気の合う者と出会ったのは初めてだ。」

「私もだ…
これからもそなたとは仲良くやっていきたいものだ…
ただし、アレだけはごめんだがな…」

二人は再び、声をあげて笑った。



「あまり遅くなっても屋敷の者達が心配するぞ。
さぁ、残りも早くたいらげてしまいたまえ。」

「私一人では多過ぎる。
貴公もどうだ?」

「そうだな…では、少しだけいただくか…」

生臭い血肉の宴は昼近くになってやっと終わった。
残ったのはアレクシスの骨と長く黒い髪の毛と食べ遺されたわずかな肉片だけだった…

二人はシャワーを浴び、お互いの全身を洗い流した。



「そうそう、約束は果たされたのだからそのロザリオをはずしてやらねばな……あぁっっ!」

ベルナールの架けたロザリオにほんの少し触れただけで、ジェロームの手の平は音を立て黒く焼け焦げた。



「ジェローム、忘れたのか?
おまえはもう私と同族になったのだ。
もはや、これはおまえにははずせん。」

そのことが納得出来ないのか、さらに試そうとするジェロームの手をベルナールが制した。



「無駄だ…手を痛めるだけだからやめておけ…」

ベルナールは焦げたジェロームの手の平に口付けた。

「貴公は本当に私の扱い方をよく知っておるな…」




シャワーを終えた二人はアレクシスの服に着替え、何事もなかったかのように屋敷を離れた。
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