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side アーサー
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僕は固く目を閉じた。
あぁ、いやだ。
どうか、少しでも早く穏便に終わってくれ。
僕がそんなことを考えていると…
「そこまでだ!」
不意に聞こえた声に、僕は反射的に目を開いた。
そこにいたのは、すらりとした剣士。
仮面を付けているけれど、精悍さが滲み出ている。
「何者だ!」
「怪我したくなかったら、すっこんでろ!」
その言葉に剣士は不敵に笑い、腰の剣を引き抜いた。
「怪我をするのは、どちらかな?」
「な、なんだと!」
「痛い目にあわせてやる!」
そう言って、ならず者のひとりが短剣を振りかざして剣士に向かっていった。
剣士は優雅な身のこなしでその攻撃を交わし、峰打ちを食らわした。
「この野郎!」
仲間の一人が倒れたことで興奮したのか、別の一人が剣士に向かい、そしてもう一人も同時にそれに続いた。
力の違いは明白だった。
ならず者と剣を交えることすらなく、剣士は二人をバッタバッタと倒してしまった。
「く、くそっ!」
「覚えてやがれ!」
勝ち目がないことを悟ったのか、ならず者達は、苦しげな顔をしながら、その場から走り去った。
「はぁ……」
ほっとしたせいか、全身の力が抜けて、僕はその場に膝を着いてしまった。
あぁ、いやだ。
どうか、少しでも早く穏便に終わってくれ。
僕がそんなことを考えていると…
「そこまでだ!」
不意に聞こえた声に、僕は反射的に目を開いた。
そこにいたのは、すらりとした剣士。
仮面を付けているけれど、精悍さが滲み出ている。
「何者だ!」
「怪我したくなかったら、すっこんでろ!」
その言葉に剣士は不敵に笑い、腰の剣を引き抜いた。
「怪我をするのは、どちらかな?」
「な、なんだと!」
「痛い目にあわせてやる!」
そう言って、ならず者のひとりが短剣を振りかざして剣士に向かっていった。
剣士は優雅な身のこなしでその攻撃を交わし、峰打ちを食らわした。
「この野郎!」
仲間の一人が倒れたことで興奮したのか、別の一人が剣士に向かい、そしてもう一人も同時にそれに続いた。
力の違いは明白だった。
ならず者と剣を交えることすらなく、剣士は二人をバッタバッタと倒してしまった。
「く、くそっ!」
「覚えてやがれ!」
勝ち目がないことを悟ったのか、ならず者達は、苦しげな顔をしながら、その場から走り去った。
「はぁ……」
ほっとしたせいか、全身の力が抜けて、僕はその場に膝を着いてしまった。
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