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チャプター2

第16話(3)再生と出発

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「はっ⁉ さ、運命の君⁉」

 ドクターMAXは驚いた表情でジンライたちを見つめる。

「運命の君?」

 ジンライが首を傾げる。

「こ、これは違うんです……ある意味敵情視察というか……決して浮気とかそういうものではなくて……」

「な、何を言っているんだ?」

 慌てて釈明するドクターMAXをジンライが戸惑い気味に見つめる。

「レポルーの科学者的な女め! 尻尾を現したな!」

「科学者的じゃなくて、科学者なのよ!」

 ジッチョクの言葉にドクターMAXが反論する。

「とにかくお前らの好きはさせないぞ!」

「ちっ! お代はここに払っておきます! お釣りは結構です!」

 ドクターMAXが店をそそくさと出る。

「おい、ジンライ!」

「ああ! 舞、代金は払っておいてくれ!」

 ジッチョクとジンライ、そしてドトウが店を出て、ドクターMAXを追いかける。

「くっ……食事をして彼らの気をひいておくつもりが……」

「ド、ドクターMAX様、いかがされましたか⁉」

 虹色の派手なタイツを着た集団がドクターMAXに尋ねる。

「予定変更よ! あいつらを迎えうちなさい!」

 ドクターMAXが自らを追いかけてきたジンライたちを指し示す。

「りょ、了解しました!」

「戦闘員たちが来るぞ!」

「吹けよ、疾風! 轟け、迅雷! 疾風迅雷、参上! 邪な野望は俺様が打ち砕く‼」

「吹けよ、疾風! 迫れ、怒涛! 疾風怒涛、参上! 邪な野望はアタシがぶっ壊す‼」

「甲殻機動! この世の悪を挟み込み! 正義の心で切り刻む! クラブマン参上!」

 疾風迅雷たちが並び立つ。戦闘員たちが戸惑う。

「ほ、北海道の地元ヒーロー、こんなところまで……!」

「怯むな、数では勝っている!」

「お、おおっ!」

 戦闘員たちが疾風迅雷らを包囲する。

「ここはアタシに任せて! 『疾風』モード!」

「む!」

「はあっ!」

「ぐわあっ⁉」

 疾風怒涛の攻撃で、戦闘員たちはほとんど倒される。

「……ざっと、こんなものかしら?」

「すごいぞ、『切符泥棒』!」

「疾風怒涛よ!」

 疾風怒涛がクラブマンに向かって声を上げる。

「ド、ドクターMAX!」

「落ち着きなさい! アンタの出番よ!」

「ぴょーん!」

 ドクターMAXが指を鳴らすと、ウサギの頭をした怪人が飛び出してくる。

「怪人ウサギぴょん、ここに……」

「あいつらを退治なさい」

「了解しましたぴょん!」

「むっ⁉」

 ウサギぴょんがあっという間に疾風怒涛との距離を詰める。

「そらっ!」

「きゃあっ!」

 ウサギぴょんの強烈な蹴りを食らい、疾風怒涛が後方に吹っ飛ぶ。

「ドトウ!」

「強烈な蹴りだな……」

「ふふっ、ウサギの脚力が成せる業だぴょん……それっ!」

「ぶふっ⁉」

 ウサギぴょんが高く飛び上がり、クラブマンの顔を踏みつけ、さらに高く飛び上がる。

「ふふっ、この高さにはついてこられないぴょん!」

「そうでもないぞ?」

「なっ⁉」

「『バイオフォーム』! 『怪鳥』モード!」

 疾風迅雷がパワードスーツのカラーリングを薄緑色に変化させ、さらに背中から翼を生やして、空に舞い上がる。ウサギぴょんが驚く。

「そ、そんなことが⁉」

「食らえ!」

「むうっ!」

 疾風迅雷が両手の鋭い爪でウサギぴょんの脇腹を切り裂く。ウサギぴょんは落下する。

「どうだ!」

「くっ……」

 ウサギぴょんは膝をつく。地面に降下した疾風迅雷が首をすくめる。

「ふん、こんなものか……」

「ちっ……」

「一気にケリをつける!」

 元のノーマルフォームに戻った疾風迅雷がウサギぴょんに迫る。

「ニャア!」

「‼」

「隙有りニャ……」

「き、貴様は……」

 猫の頭をした怪人、怪人ネコまんまが疾風迅雷の脇腹を突く。予期せぬ攻撃を食らった疾風迅雷が倒れ込む。

「ふん、いつぞやの借りを返すときニャ……」

「き、貴様は……爆発したはずでは?」

「コアを回収してもらったからニャ、ドクターMAXによって復活してもらったニャ」

「そ、そんなことが……」

「申し訳ありません……」

 ドクターMAXが疾風迅雷に向かって頭を下げる。ネコまんまが首を捻る。

「? 何故謝るのですかニャ?」

「な、なんでもないわ、さっさとこの先のMSPを回収するわよ」

「こいつらにトドメは刺さなくて良いんですかニャ?」

「それより回収が優先よ」

「了解しましたニャ。おい、ウサギぴょん」

「ああ……」

「戦闘員どもも続くニャ」

「は、はい!」

「ぐっ……」

「ちょっと待った……」

「それ以上好き勝手はさせん……」

 ドクターMAXたちを銀と鉄が呼び止める。疾風迅雷が驚く。

「⁉ あいつらは山猫亭の……?」

「ニャンだ、お前ら!」

「準備……」

「よし!」

「⁉」

 銀と鉄が互いの人差し指を交差させると、二人の体を光が包み、一体の銀色と黒色のカラーリングをした姿となった。

「『G‐EX』、平和の夢を運ぶため、出発進行‼」

 G‐EXが右手の人差し指をビシっと指差す。
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