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第1章
第5話(3)個人情報特定
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「ふう……」
「どうしたのですか? ため息なんかついて……」
ある喫茶店で、ため息をつく金髪でロングヘアーの女性に対し、近くの席に座る黒髪のおさげ髪で丸縁眼鏡をかけた、小柄で白衣姿の女性が話しかける。
「いいや、別に……」
「別にってことはないでしょう」
「なんでもあらへんよ……」
「また振られたのですか?」
「またってなんやねん」
「えっと……(6年連続36度目)でしたっけ?」
「甲子園出場みたいに言うな、結構な常連校やないか」
「違うのですか?」
「全然違うわ。大体こないだのはこっちから振ってやったっちゅうねん……」
「ほう、そういう考え方もありますか……」
白衣の女性が顎に手を当てる。
「他にないやろうが」
「解釈違いかなと……」
「どういう解釈をしたらそうなんねん」
「では……色恋沙汰ではないと?」
「あのな、あたしもそういうのでいちいち分かりやすく落ち込まんよ、いい大人なんやから」
「それでは……景気の悪化で?」
「いや、それも悩み事ではあるけれども……」
「介護問題?」
「それももちろん考えなアカンことやけれども……」
「格差社会?」
「うん、それもな……」
「少子高齢化社会?」
「それもな……」
「外交問題?」
「それはあたし個人ではどうしようもないな……」
「この社会全体に漂う閉塞感?」
「悩み事のスケール!」
「これらも違うのですか?」
白衣の女性が首を傾げる。
「そんなんで悩んでのんやったら、喫茶店で呑気にコーヒー飲んでへんわ!」
金髪の女性が声を上げる。
「……では、そのため息は?」
「それは……」
「あ! ここにいた! スカルレディさん!」
凛たち五人が喫茶店にぞろぞろと入ってくる。
「大声でスカルレディって言うな!」
金髪の女性がさらに大きな声を上げる。
「す、すみません……」
凛が頭を下げる。
「ちっ、とうとうこの店まで突き止めよったか……」
金髪の女性が頭を抑える。
「……この子たちは?」
「こないだ言うた、インディーズの戦隊の子らや」
「ああ、ゲツアサの……」
白衣の女性が笑みを浮かべる。
「せや、散々ダメ出ししてやったんやが……」
「それから色々と相談に乗ってもらっているんです!」
「乗っている覚えはないで!」
「ええっ⁉」
「ええっ⁉ちゃうねん! 大体どうやってんねん、あたしの勤務先とか突き止めて……」
「紫条院グループの情報網も舐めてもらっては困るどす」
心が髪をかき上げる。
「大企業の力を個人情報特定に使うなや!」
「『スカルレディ』でSNSやってるのもどうかと思いますけど」
躍がボソッと呟く。
「あれは営業用やからしゃあないやろ!」
「上げていた写真に写っていた空に映っていた月の位置と投稿時間で、大体の行動範囲は把握することが出来た……」
「空の写真って昼間のやろ⁉ 怖いな!」
輝の言葉に金髪の女性が戸惑う。
「ネットリテラシーが低いのではないかな?」
「自分らの特定能力がガチ過ぎんねん!」
秀に対し、金髪の女性が言い返す。
「スカルレディさん……」
「その呼び方やめろ! プライベートや!」
「では、彩由多加(いろどりゆたか)さん……」
「な、なんで本名を知ってんねん!」
彩と呼ばれた女性が戸惑う。心が呟く。
「情報網……」
「だからそういうのやめえや!」
「それだけではないですよ」
「え?」
秀の言葉に彩が首を傾げる。秀が躍と輝に視線を向ける。
「SNS上の書き込みとかね」
「むう⁉」
「自撮りの瞳孔の開き方から……」
「自分だけさっきから怖過ぎんねん!」
彩が輝を指差す。凛が声をかける。
「ちょっと落ち着いてください……」
「これが落ち着けるか!」
「彩さんだけに用事があるわけじゃないんですよ……」
「へ?」
「実はですね……アタシたちにこのゲームコントローラーを送りつけた人物がここら辺にいるという情報を掴みまして……」
凛がゲームコントローラーを取り出す。彩が頷く。
「ああ、自分らの変身アイテムか……」
「何故アタシたちを選んだのか、その理由を聞いてみたくて……」
「それが誰か分かってんのか?」
「このお店の常連さんらしいんですけど……」
「それ以上は我々の情報網でも……」
心が首を左右に振る。
「黒髪のおさげ髪で、丸縁眼鏡をかけていて……」
躍が顎に手を当てて呟く。
「うん?」
「小柄な体格で、常に白衣を着ているらしいのですが……」
輝が腕を組んで首を捻る。
「ううん?」
「それ以上は分からなくて、正直お手上げ状態なのですよ」
秀がやれやれといった様子で両手を広げる。
「いやいや、どう見てもこいつやんけ!」
彩が自分の近くに座る黒髪のおさげ髪で丸縁眼鏡の小柄な白衣姿の女性を指差す。
「「「「「ああっ⁉」」」」」
「どうしたのですか? ため息なんかついて……」
ある喫茶店で、ため息をつく金髪でロングヘアーの女性に対し、近くの席に座る黒髪のおさげ髪で丸縁眼鏡をかけた、小柄で白衣姿の女性が話しかける。
「いいや、別に……」
「別にってことはないでしょう」
「なんでもあらへんよ……」
「また振られたのですか?」
「またってなんやねん」
「えっと……(6年連続36度目)でしたっけ?」
「甲子園出場みたいに言うな、結構な常連校やないか」
「違うのですか?」
「全然違うわ。大体こないだのはこっちから振ってやったっちゅうねん……」
「ほう、そういう考え方もありますか……」
白衣の女性が顎に手を当てる。
「他にないやろうが」
「解釈違いかなと……」
「どういう解釈をしたらそうなんねん」
「では……色恋沙汰ではないと?」
「あのな、あたしもそういうのでいちいち分かりやすく落ち込まんよ、いい大人なんやから」
「それでは……景気の悪化で?」
「いや、それも悩み事ではあるけれども……」
「介護問題?」
「それももちろん考えなアカンことやけれども……」
「格差社会?」
「うん、それもな……」
「少子高齢化社会?」
「それもな……」
「外交問題?」
「それはあたし個人ではどうしようもないな……」
「この社会全体に漂う閉塞感?」
「悩み事のスケール!」
「これらも違うのですか?」
白衣の女性が首を傾げる。
「そんなんで悩んでのんやったら、喫茶店で呑気にコーヒー飲んでへんわ!」
金髪の女性が声を上げる。
「……では、そのため息は?」
「それは……」
「あ! ここにいた! スカルレディさん!」
凛たち五人が喫茶店にぞろぞろと入ってくる。
「大声でスカルレディって言うな!」
金髪の女性がさらに大きな声を上げる。
「す、すみません……」
凛が頭を下げる。
「ちっ、とうとうこの店まで突き止めよったか……」
金髪の女性が頭を抑える。
「……この子たちは?」
「こないだ言うた、インディーズの戦隊の子らや」
「ああ、ゲツアサの……」
白衣の女性が笑みを浮かべる。
「せや、散々ダメ出ししてやったんやが……」
「それから色々と相談に乗ってもらっているんです!」
「乗っている覚えはないで!」
「ええっ⁉」
「ええっ⁉ちゃうねん! 大体どうやってんねん、あたしの勤務先とか突き止めて……」
「紫条院グループの情報網も舐めてもらっては困るどす」
心が髪をかき上げる。
「大企業の力を個人情報特定に使うなや!」
「『スカルレディ』でSNSやってるのもどうかと思いますけど」
躍がボソッと呟く。
「あれは営業用やからしゃあないやろ!」
「上げていた写真に写っていた空に映っていた月の位置と投稿時間で、大体の行動範囲は把握することが出来た……」
「空の写真って昼間のやろ⁉ 怖いな!」
輝の言葉に金髪の女性が戸惑う。
「ネットリテラシーが低いのではないかな?」
「自分らの特定能力がガチ過ぎんねん!」
秀に対し、金髪の女性が言い返す。
「スカルレディさん……」
「その呼び方やめろ! プライベートや!」
「では、彩由多加(いろどりゆたか)さん……」
「な、なんで本名を知ってんねん!」
彩と呼ばれた女性が戸惑う。心が呟く。
「情報網……」
「だからそういうのやめえや!」
「それだけではないですよ」
「え?」
秀の言葉に彩が首を傾げる。秀が躍と輝に視線を向ける。
「SNS上の書き込みとかね」
「むう⁉」
「自撮りの瞳孔の開き方から……」
「自分だけさっきから怖過ぎんねん!」
彩が輝を指差す。凛が声をかける。
「ちょっと落ち着いてください……」
「これが落ち着けるか!」
「彩さんだけに用事があるわけじゃないんですよ……」
「へ?」
「実はですね……アタシたちにこのゲームコントローラーを送りつけた人物がここら辺にいるという情報を掴みまして……」
凛がゲームコントローラーを取り出す。彩が頷く。
「ああ、自分らの変身アイテムか……」
「何故アタシたちを選んだのか、その理由を聞いてみたくて……」
「それが誰か分かってんのか?」
「このお店の常連さんらしいんですけど……」
「それ以上は我々の情報網でも……」
心が首を左右に振る。
「黒髪のおさげ髪で、丸縁眼鏡をかけていて……」
躍が顎に手を当てて呟く。
「うん?」
「小柄な体格で、常に白衣を着ているらしいのですが……」
輝が腕を組んで首を捻る。
「ううん?」
「それ以上は分からなくて、正直お手上げ状態なのですよ」
秀がやれやれといった様子で両手を広げる。
「いやいや、どう見てもこいつやんけ!」
彩が自分の近くに座る黒髪のおさげ髪で丸縁眼鏡の小柄な白衣姿の女性を指差す。
「「「「「ああっ⁉」」」」」
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