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『ケース2:フラグをガンガンへし折りまくって、ハッピーエンドを目指す悪役令嬢志望のティエラの場合』
第8話(2)準決勝Bブロック先鋒戦
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「さあ! それでは皆様お待ちかね! 『レボリューション・チャンピオンシップ』準決勝、Bブロック先鋒戦、選手の入場です‼」
「おおおおおっ!」
「まずは北口ゲートから入場は、1回戦Aブロックを二位で通過したチーム『悪役令嬢』、アフダル家のご令息、シルヴァンだ! リポーターのマールさん、お願いします」
「はい、こちらマールです……。シルヴァン選手、意気込みをお願いします……」
「ま、まあ、勝つだけだよ……」
リポーターさんからの問いかけに、シルヴァンさんは思惑がすっかり外れた心の動揺を隠しながら冷静に答えます。
「今回は大将ではなく先鋒なのですね?」
「ま、まあ、数ある勝利へのプランから最善手を選んだ結果さ」
「そうですか……次、お願いします」
「では、次は東口ゲートから入場の、1回戦Bブロックを、抽選の結果一位で通過したチーム『剛腕』、ラティウスと深いつながりを持つ、フランソワだ! リポーターのシャクさん、お願いします」
「はい! こちらシャクです! フランソワ選手、意気込みの程ををお願いします!」
「ウホ!」
「えっと……」
「余計な言葉は不要! ただただ勝つのみだ! と言っている」
後方からラティウスさんの声が聞こえてきます。
「ええっ⁉ 発音の短さのわりにセンテンス長くないですか⁉」
「そう言っているのだからしょうがないだろう」
「そ、そうですか……先鋒ということですが!」
「ウホウホウッホ、ウホホ、ウッホッホ……」
「特に意識はない、そうだ」
「こ、今度は短い……そ、そうですか………お、お返しします!」
「続いて、南口ゲートから入場は、1回戦Cブロックを二位で通過したチーム『赤点』、北方からきた巨人フレデリックだ! リポーターのヌーブさん、よろしくお願いします」
「は、はい! こ、こちらヌーブです! フ、フレデリック選手、意気込みを!」
「……1回戦では不甲斐ないところを見せてしまったからな。種族としての誇りもある、汚名返上したいところだな」
筋骨隆々の肉体を布で包んだ金髪の男性が自信満々の口調でお話しされます。
「せ、先鋒に変わった意味は?」
「さあな……相も変わらず封印されていたからな」
「チ、チームとしてのお考えでしょうか……?」
「アナスタシアは案外頭が回るが、奴の考えではないだろう……アンナの考えだろうな」
「で、では、改めてこの準決勝、いかがでしょうか!」
「もはや油断もない……誰も俺を止められん!」
フレデリックさんが叫ぶと、周りが振動します。
「は、迫力たっぷりの勇ましいコメントを頂きました! お、お返しします!」
「最後に、西口ゲートから入場は、1回戦Dブロックを一位で通過したチーム『龍と虎と鳳凰』、東方の高名な寺院の修行僧、ゲンシンの登場だ! それではリポーターのフルカさん、お願いします!」
「はい~こちらフルカ~。ゲンシン選手、調子はどう~?」
「悪くはないっスよ!」
「今日は先鋒なんだね~」
「特に意味はないっスけどね! ソウリュウの気分の問題っス!」
「なるほどね~じゃあ、お返ししま~す」
「さあ、四人がリングに上がろうとしています……解説は昨日惜しくも敗退したチーム『天界』のセーヴィさんにお願いしています。セーヴィさん、先鋒戦、どう見ますか?」
「注目はやはりあの巨人、フレデリックですね……」
「マッチョな肉体ですよね~」
「ええ、惚れ惚れとしてしまいます……って、そこではありません!」
セーヴィさんが慌てて否定します。会場中から困惑の視線が注がれます。
「あ、違うんですか? では注目すべきポイントは?」
「ご、ご本人もおっしゃったように1回戦は本領を発揮出来たとは言い難いです。今回は油断もないとのこと……そうなるとその進撃を止めるのは容易くはないでしょう……」
「なるほど。おっと四人がリングに上がった……審判が今、開始の合図を出しました!」
「さあ! 手加減はしないぜ! 怪我したくないならリングアウトを選びな!」
「フレデリック、吼えた! リングだけでなく、会場が文字通り揺れます!」
「……出来ればそうしたいのだけどね!」
「む!」
「おっと! シルヴァンが果敢に向かっていくぞ! ジャンプした!」
シルヴァンさんがフレデリックさんに向かって飛びかかります。
「ははっ! その度胸は買うぞ、色男!」
「ついでにこれも貰ってくれよ! 『蔦生える』!」
「ぬおっ⁉」
「おおっと⁉ シルヴァンの両手から生えた無数の木の蔦がフレデリックの巨体のありとあらゆるところに絡みつく⁉」
「植物系統の魔法ですわね……ここまでの練度とは……」
セーヴィさんが感心したように呟きます。
「ぐおっ⁉ な、なんのこれしき……」
「取ろうとすると、それだけ余計に絡みつくよ!」
「うぐっ!」
「首が締まったな! ……くっ、落ちろ!」
「……!」
「フレデリック、落ちたぞ! リングの外に倒れ込む!」
「これは番狂わせですわね……」
「フレデリック、敗北! 0ポイント!」
「ウホッ!」
「あっと! シルヴァンにフランソワが襲いかかる!」
「連戦はしんどいが……『森盛り』!」
「シルヴァン! リング上に小規模の森を発生させた!」
「抜け出すのはなかなか厄介だよ! って⁉」
「ホッ!」
「このような小細工……森の賢者相手に無駄なことだ! と、言っているぞ!」
ラティウスさんが叫びます。ホッ!としか言ってないと思うのですが。
「ウホッ!」
「ぐはっ!」
「……シルヴァン、敗北! 1ポイント!」
「シルヴァン、フランソワのパワーに屈した!」
「巨人相手に力を使いすぎましたわね……もっと練度の高い魔法を出せればあるいは……」
セーヴィさんが冷静に解説します。実況の方が不思議そうに彼女を見つめます。
「……魔法にお詳しいのですか?」
「そりゃあ魔女ですから」
「またまた御冗談を」
「だから冗談じゃありませんわよ! なんで誰も……ん⁉」
「『炎上鼓舞』!」
「ウッホ⁉」
「炎はやっぱり苦手みたいっスね! 隙有りっスよ! 喰らえ、『虎牙炎拳』!」
フランソワさんの懐に素早く入り込んだゲンシンさんが上下同時に放った鋭い拳がフランソワさんの顎に当たり、フランソワさんは倒れ込みます。審判が宣告します
「フランソワ、敗北! 2ポイント! よって、ゲンシン、勝利! 3ポイント!」
「せ、先鋒戦は電光石火の決着! 勝者はチーム『龍と虎と鳳凰』のゲンシンだ! セ、セーヴィさん、どうでしたでしょうか?」
「炎の虎の力や魔法があるとはいえ、巨人や力が上の種族に臆さずに立ち向かうとは……人間の強さの本質とはその勇敢さにあるのかもしれませんわね……」
セーヴィさんが感嘆の声を上げます。
「おおおおおっ!」
「まずは北口ゲートから入場は、1回戦Aブロックを二位で通過したチーム『悪役令嬢』、アフダル家のご令息、シルヴァンだ! リポーターのマールさん、お願いします」
「はい、こちらマールです……。シルヴァン選手、意気込みをお願いします……」
「ま、まあ、勝つだけだよ……」
リポーターさんからの問いかけに、シルヴァンさんは思惑がすっかり外れた心の動揺を隠しながら冷静に答えます。
「今回は大将ではなく先鋒なのですね?」
「ま、まあ、数ある勝利へのプランから最善手を選んだ結果さ」
「そうですか……次、お願いします」
「では、次は東口ゲートから入場の、1回戦Bブロックを、抽選の結果一位で通過したチーム『剛腕』、ラティウスと深いつながりを持つ、フランソワだ! リポーターのシャクさん、お願いします」
「はい! こちらシャクです! フランソワ選手、意気込みの程ををお願いします!」
「ウホ!」
「えっと……」
「余計な言葉は不要! ただただ勝つのみだ! と言っている」
後方からラティウスさんの声が聞こえてきます。
「ええっ⁉ 発音の短さのわりにセンテンス長くないですか⁉」
「そう言っているのだからしょうがないだろう」
「そ、そうですか……先鋒ということですが!」
「ウホウホウッホ、ウホホ、ウッホッホ……」
「特に意識はない、そうだ」
「こ、今度は短い……そ、そうですか………お、お返しします!」
「続いて、南口ゲートから入場は、1回戦Cブロックを二位で通過したチーム『赤点』、北方からきた巨人フレデリックだ! リポーターのヌーブさん、よろしくお願いします」
「は、はい! こ、こちらヌーブです! フ、フレデリック選手、意気込みを!」
「……1回戦では不甲斐ないところを見せてしまったからな。種族としての誇りもある、汚名返上したいところだな」
筋骨隆々の肉体を布で包んだ金髪の男性が自信満々の口調でお話しされます。
「せ、先鋒に変わった意味は?」
「さあな……相も変わらず封印されていたからな」
「チ、チームとしてのお考えでしょうか……?」
「アナスタシアは案外頭が回るが、奴の考えではないだろう……アンナの考えだろうな」
「で、では、改めてこの準決勝、いかがでしょうか!」
「もはや油断もない……誰も俺を止められん!」
フレデリックさんが叫ぶと、周りが振動します。
「は、迫力たっぷりの勇ましいコメントを頂きました! お、お返しします!」
「最後に、西口ゲートから入場は、1回戦Dブロックを一位で通過したチーム『龍と虎と鳳凰』、東方の高名な寺院の修行僧、ゲンシンの登場だ! それではリポーターのフルカさん、お願いします!」
「はい~こちらフルカ~。ゲンシン選手、調子はどう~?」
「悪くはないっスよ!」
「今日は先鋒なんだね~」
「特に意味はないっスけどね! ソウリュウの気分の問題っス!」
「なるほどね~じゃあ、お返ししま~す」
「さあ、四人がリングに上がろうとしています……解説は昨日惜しくも敗退したチーム『天界』のセーヴィさんにお願いしています。セーヴィさん、先鋒戦、どう見ますか?」
「注目はやはりあの巨人、フレデリックですね……」
「マッチョな肉体ですよね~」
「ええ、惚れ惚れとしてしまいます……って、そこではありません!」
セーヴィさんが慌てて否定します。会場中から困惑の視線が注がれます。
「あ、違うんですか? では注目すべきポイントは?」
「ご、ご本人もおっしゃったように1回戦は本領を発揮出来たとは言い難いです。今回は油断もないとのこと……そうなるとその進撃を止めるのは容易くはないでしょう……」
「なるほど。おっと四人がリングに上がった……審判が今、開始の合図を出しました!」
「さあ! 手加減はしないぜ! 怪我したくないならリングアウトを選びな!」
「フレデリック、吼えた! リングだけでなく、会場が文字通り揺れます!」
「……出来ればそうしたいのだけどね!」
「む!」
「おっと! シルヴァンが果敢に向かっていくぞ! ジャンプした!」
シルヴァンさんがフレデリックさんに向かって飛びかかります。
「ははっ! その度胸は買うぞ、色男!」
「ついでにこれも貰ってくれよ! 『蔦生える』!」
「ぬおっ⁉」
「おおっと⁉ シルヴァンの両手から生えた無数の木の蔦がフレデリックの巨体のありとあらゆるところに絡みつく⁉」
「植物系統の魔法ですわね……ここまでの練度とは……」
セーヴィさんが感心したように呟きます。
「ぐおっ⁉ な、なんのこれしき……」
「取ろうとすると、それだけ余計に絡みつくよ!」
「うぐっ!」
「首が締まったな! ……くっ、落ちろ!」
「……!」
「フレデリック、落ちたぞ! リングの外に倒れ込む!」
「これは番狂わせですわね……」
「フレデリック、敗北! 0ポイント!」
「ウホッ!」
「あっと! シルヴァンにフランソワが襲いかかる!」
「連戦はしんどいが……『森盛り』!」
「シルヴァン! リング上に小規模の森を発生させた!」
「抜け出すのはなかなか厄介だよ! って⁉」
「ホッ!」
「このような小細工……森の賢者相手に無駄なことだ! と、言っているぞ!」
ラティウスさんが叫びます。ホッ!としか言ってないと思うのですが。
「ウホッ!」
「ぐはっ!」
「……シルヴァン、敗北! 1ポイント!」
「シルヴァン、フランソワのパワーに屈した!」
「巨人相手に力を使いすぎましたわね……もっと練度の高い魔法を出せればあるいは……」
セーヴィさんが冷静に解説します。実況の方が不思議そうに彼女を見つめます。
「……魔法にお詳しいのですか?」
「そりゃあ魔女ですから」
「またまた御冗談を」
「だから冗談じゃありませんわよ! なんで誰も……ん⁉」
「『炎上鼓舞』!」
「ウッホ⁉」
「炎はやっぱり苦手みたいっスね! 隙有りっスよ! 喰らえ、『虎牙炎拳』!」
フランソワさんの懐に素早く入り込んだゲンシンさんが上下同時に放った鋭い拳がフランソワさんの顎に当たり、フランソワさんは倒れ込みます。審判が宣告します
「フランソワ、敗北! 2ポイント! よって、ゲンシン、勝利! 3ポイント!」
「せ、先鋒戦は電光石火の決着! 勝者はチーム『龍と虎と鳳凰』のゲンシンだ! セ、セーヴィさん、どうでしたでしょうか?」
「炎の虎の力や魔法があるとはいえ、巨人や力が上の種族に臆さずに立ち向かうとは……人間の強さの本質とはその勇敢さにあるのかもしれませんわね……」
セーヴィさんが感嘆の声を上げます。
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