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第1笑
5本目(1)熱いトーク
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5
「……やはり、『〇ラックジャック』だろう」
屋代が眼鏡をクイっとさせながら答える。
「え~」
「え~とはなんだ、え~とは!」
屋代が礼明を指差す。
「『ブラック〇ャック』って、タイトルは知っていますけど……ね~礼光ちゃん?」
「うん、さすがにちょっと古くないですか~?」
礼明の問いに礼光が頷く。
「古いというのは大した問題ではない。あの作品は生命とは何かを我々読者に考えさせてくれる非常に意義深い作品だ」
屋代が腕を組んで、自らの発言にうんうんと頷く。
「う~ん……」
「なんかねえ~」
能美兄弟が揃って首を捻る。屋代が問う。
「ならば、君たちは何だと思うんだ?」
「やっぱり、『花男』でしょ!」
「はなだん?」
屋代が首を傾げる。
「『〇より男子』ですよ~」
「F4が4人ともかっこいいしね~」
「エフフォー?」
屋代がさらに首を傾げる。
「屋代パイセン、『花より〇子』知らないのヤバいですよ~」
「うん、マジあり得ない、人生損してる~」
「くっ……お、おい、江田はどう思う?」
「えっ? う~ん、『スラダン』っすかね~」
「スラダン? スライムより団子か?」
「『〇ラムダンク』っすよ、国民的バスケ漫画の!」
「君は野球部だろう! 野球漫画を読みたまえよ!」
「なんすか、その暴論は……」
江田は冷ややかな視線を向ける。屋代は司に尋ねる。
「細羽! 君はなんだと思う⁉」
「えっ? ぼ、僕は……『〇撃の巨人』ですかね~」
「ふっ……」
「そうっすか……」
「ミーハーだね、司っちは……」
「ベタだよね~」
四人が司の答えを鼻で笑う。司はムッとする。
「な、なんでそこで四人の息が合うんですか⁉ 『進撃の〇人』は良いでしょ! アニメもカッコ良かったし! 世界的な人気ですよ!」
「世界的人気を誇るアニメなら『〇ウボーイビバップ』だろう!」
屋代が声を上げる。礼明が笑う。
「ははっ……」
「なにがおかしいんだ?」
「なんか、屋代パイセン、チョイスが古いんですよ……」
「古いだと⁉ あのスタイリッシュさは今もなお色褪せることはないぞ!」
「アニメならやっぱり、『あの花』っしょ~」
「あの花?」
「『あの日見た花の名前を〇たちはまだ知らない』ですよ~」
「あれはマジ泣けるよね~」
礼光が礼明に同意する。
「何度見ても良いよね~」
「知らないが、お涙頂戴系か……」
「パイセン~『あの花』知らないのはどうかと……」
「ちょっとヤバいよね~」
能美兄弟が冷めた視線を屋代に送る。
「くっ、え、江田はどうなんだ?」
「え、そうっすね……『〇―リ!!! on ICE』っすかね……」
「なんだそれは? 野球アニメか?」
「フィギュアスケートものっす!」
「野球を見ろ!」
「さっきからなんすか、その暴論は⁉」
江田が困惑する。
「ちっ……細羽はどうだ? 『進撃』以外なら」
「え? ガ、『ガルパン』ですかね?」
「いやらしいものか?」
「ち、違いますよ! 『ガールズ&パンツ〇ー』、略して『ガルパン』です。戦車道という架空の競技を描いた傑作です! 舞台になった茨城県大洗町は聖地なんですよ!」
「あ~なんか、聞いたことあるかも……」
「聖地とか、やっぱミーハーだよね~司ちんは……」
礼光が笑う。
「作家志望ならもっと通が好むものを観たらどうだ?」
「全くっすね」
屋代の言葉に江田が頷く。司が再びムッとする。
「だからなんでそこだけ息が合うんですか⁉ ガルパンはゲームもヒットしていますよ!」
「ゲームならば、『〇長の野望』シリーズだな、戦国大名の気分を味わえる。歴史や地理の勉強にもなるしな……」
「いや~そこはやっぱり『スプラ』っしょ!」
「スプラ?」
「『スプラ〇ゥーン』シリーズ知らないんですか⁉」
「さすがにそれはヤバいですよ……」
首を傾げる屋代に対し、礼明は驚き、礼光は引き気味で呟く。
「そ、そんなに引くことはないだろう⁉」
「だってヤバいんですもん……」
「ね~」
「むう……江田はどうだ、ゲームは……」
「『〇IFA』シリーズっすね」
「『FI〇A』?」
「サッカーゲームっす!」
「野球ゲームをやれ!」
「いや、別に良いじゃないっすか!」
「細羽は⁉」
「えっと、最近なら『〇マ娘』ですかね……」
「お前というやつは……」
「それっすか……」
「なんというか……」
「とことんベタだね~」
四人が揃ってため息をつく。司が三度ムッとする。
「いや、なんで僕だけはダメみたいな雰囲気出すんですか⁉ おかしいですよ!」
「それはこっちの台詞や!」
「あ! 笑美さん!」
司が視線を向けると、笑美が部室に入ってくる。
「何を熱くオタクトークしとんねん……サークルの趣旨変えたんか?」
「えっと、どうしてだっけ……? そう、彼の話がきっかけで……」
「彼? うおっ⁉」
司の指差した方を見ると、長い黒髪を後ろで一つしばりにした眼鏡の男子がぶつぶつと呟きながら、教室の隅にしゃがみ込んでいた。
「……やはり、『〇ラックジャック』だろう」
屋代が眼鏡をクイっとさせながら答える。
「え~」
「え~とはなんだ、え~とは!」
屋代が礼明を指差す。
「『ブラック〇ャック』って、タイトルは知っていますけど……ね~礼光ちゃん?」
「うん、さすがにちょっと古くないですか~?」
礼明の問いに礼光が頷く。
「古いというのは大した問題ではない。あの作品は生命とは何かを我々読者に考えさせてくれる非常に意義深い作品だ」
屋代が腕を組んで、自らの発言にうんうんと頷く。
「う~ん……」
「なんかねえ~」
能美兄弟が揃って首を捻る。屋代が問う。
「ならば、君たちは何だと思うんだ?」
「やっぱり、『花男』でしょ!」
「はなだん?」
屋代が首を傾げる。
「『〇より男子』ですよ~」
「F4が4人ともかっこいいしね~」
「エフフォー?」
屋代がさらに首を傾げる。
「屋代パイセン、『花より〇子』知らないのヤバいですよ~」
「うん、マジあり得ない、人生損してる~」
「くっ……お、おい、江田はどう思う?」
「えっ? う~ん、『スラダン』っすかね~」
「スラダン? スライムより団子か?」
「『〇ラムダンク』っすよ、国民的バスケ漫画の!」
「君は野球部だろう! 野球漫画を読みたまえよ!」
「なんすか、その暴論は……」
江田は冷ややかな視線を向ける。屋代は司に尋ねる。
「細羽! 君はなんだと思う⁉」
「えっ? ぼ、僕は……『〇撃の巨人』ですかね~」
「ふっ……」
「そうっすか……」
「ミーハーだね、司っちは……」
「ベタだよね~」
四人が司の答えを鼻で笑う。司はムッとする。
「な、なんでそこで四人の息が合うんですか⁉ 『進撃の〇人』は良いでしょ! アニメもカッコ良かったし! 世界的な人気ですよ!」
「世界的人気を誇るアニメなら『〇ウボーイビバップ』だろう!」
屋代が声を上げる。礼明が笑う。
「ははっ……」
「なにがおかしいんだ?」
「なんか、屋代パイセン、チョイスが古いんですよ……」
「古いだと⁉ あのスタイリッシュさは今もなお色褪せることはないぞ!」
「アニメならやっぱり、『あの花』っしょ~」
「あの花?」
「『あの日見た花の名前を〇たちはまだ知らない』ですよ~」
「あれはマジ泣けるよね~」
礼光が礼明に同意する。
「何度見ても良いよね~」
「知らないが、お涙頂戴系か……」
「パイセン~『あの花』知らないのはどうかと……」
「ちょっとヤバいよね~」
能美兄弟が冷めた視線を屋代に送る。
「くっ、え、江田はどうなんだ?」
「え、そうっすね……『〇―リ!!! on ICE』っすかね……」
「なんだそれは? 野球アニメか?」
「フィギュアスケートものっす!」
「野球を見ろ!」
「さっきからなんすか、その暴論は⁉」
江田が困惑する。
「ちっ……細羽はどうだ? 『進撃』以外なら」
「え? ガ、『ガルパン』ですかね?」
「いやらしいものか?」
「ち、違いますよ! 『ガールズ&パンツ〇ー』、略して『ガルパン』です。戦車道という架空の競技を描いた傑作です! 舞台になった茨城県大洗町は聖地なんですよ!」
「あ~なんか、聞いたことあるかも……」
「聖地とか、やっぱミーハーだよね~司ちんは……」
礼光が笑う。
「作家志望ならもっと通が好むものを観たらどうだ?」
「全くっすね」
屋代の言葉に江田が頷く。司が再びムッとする。
「だからなんでそこだけ息が合うんですか⁉ ガルパンはゲームもヒットしていますよ!」
「ゲームならば、『〇長の野望』シリーズだな、戦国大名の気分を味わえる。歴史や地理の勉強にもなるしな……」
「いや~そこはやっぱり『スプラ』っしょ!」
「スプラ?」
「『スプラ〇ゥーン』シリーズ知らないんですか⁉」
「さすがにそれはヤバいですよ……」
首を傾げる屋代に対し、礼明は驚き、礼光は引き気味で呟く。
「そ、そんなに引くことはないだろう⁉」
「だってヤバいんですもん……」
「ね~」
「むう……江田はどうだ、ゲームは……」
「『〇IFA』シリーズっすね」
「『FI〇A』?」
「サッカーゲームっす!」
「野球ゲームをやれ!」
「いや、別に良いじゃないっすか!」
「細羽は⁉」
「えっと、最近なら『〇マ娘』ですかね……」
「お前というやつは……」
「それっすか……」
「なんというか……」
「とことんベタだね~」
四人が揃ってため息をつく。司が三度ムッとする。
「いや、なんで僕だけはダメみたいな雰囲気出すんですか⁉ おかしいですよ!」
「それはこっちの台詞や!」
「あ! 笑美さん!」
司が視線を向けると、笑美が部室に入ってくる。
「何を熱くオタクトークしとんねん……サークルの趣旨変えたんか?」
「えっと、どうしてだっけ……? そう、彼の話がきっかけで……」
「彼? うおっ⁉」
司の指差した方を見ると、長い黒髪を後ろで一つしばりにした眼鏡の男子がぶつぶつと呟きながら、教室の隅にしゃがみ込んでいた。
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