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 領地に来て2年、私の身体はすっかり当地に適応して成熟しました。9歳の誕生日に私は4人の夫を迎え、それを機会に領地をノルテ国という名前に改めてクイーンを名乗りました。ウノお兄様は宰相兼財務大臣です。夫たちは、ドスが内務大臣、トレスが軍務大臣、クワトロが産業大臣、スインコが外務大臣です。

 さっそくスインコを王国に送って独立宣言をさせました。予想通り拒否されましたが『これはクイーンのわがままである』と言わせたのでおとがめはありませんでした。私のわがままに対する断罪は9年後まで起きないはずなので、それまでに国力を上げておきましょう。スインコはついでに近隣諸国を回って国交を結びました。王国の勢力を少しでも減らしたい彼らはもちろんノルテ国を独立国と認めました。

 議会と裁判所と役所も作りました。まだあまり実権を与えず、最終的な決定権は全て私とウノお兄様にありますが、人々を少しずつ議会政治と民主主義に慣らしていきたいですからね。絶対王政に未来がないことは前世では常識ですよね。市民革命などが起きると多くの犠牲が出て国力が低下してしまいますから、少しずつ民衆に権力を渡そうというウノお兄様の深謀遠慮ですわ。

 10歳の春に私は男女の双子を出産しました。後継ぎの長女はプリンセスを名乗り、長男はプリンスとして彼女を支えます。それにしても神様が作って下さった設定は素晴らしいです。特に権力を持つ女を支えるのが夫でなく兄弟だという点が優れています。色恋ざたが政治にからむ事が少なくなりますし、一妻多夫の母系相続ですので私生児や隠し子などありえません。相続問題に無駄なエネルギーを使うことがないので各家はもっと有意義な活動に時間を使う事ができるのです。

 11歳の夏には男の子の三つ子が生まれました。これで出産はとりあえずお休みしましょう。後継ぎの女の子のスペアを作ろうかしらと迷ったのですが、長女が結婚する年になっても私は出産可能年齢なのでとりあえず良しとしました。ノルテ女性の平均寿命は35歳ですが私たちはその直前まで出産可能なのです。これに関しては神様の設定がおかしいというより、閉経後の寿命が異常に長い普通の人間の方が動物としては少数派なんですよ。
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