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本編

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「ん…」
「おはようございます。自力で起き上がれるようになったようですね」
「…そう…みたい」
「まだ油断は禁物ですからね。あ、そういえば昨夜アリア様に羽が生えましたわ」
「…早い」

僕はあんなに痛い思いをしたのに。フィオナと同じ部屋にいるはずのアリアの声が聞こえなかった。隣のお部屋なのに。

「アリア様はもう飛ぶ練習をし始めましたわ。というよりもソラ様の真似をして遊んでいるようで」
「ソラの真似…」

僕も真似すれば飛べるようになるのかな。でも僕…前にフィオナから飛び方を教えてもらったとき全然飛べなかったもん。僕には無理なのかもしれない。

「ふふ。朝食にいたしましょう。竜王様も、狸寝入りはやめて早く起きてくださいませ」
「違う…子がいて起き上がれぬのだ」

振り返ってみるとアリアがサトの胸の上に、ソラがお腹の上、カイがサトの足に乗っていた。

ずるい。僕も。

思わずサトの隣に丸くなった。なんかサトを取られたみたいで嫌。

「リオ?」
「可愛らしい嫉妬ですね。お子は全員こちらに移しましょう」

フィオナは壁際に置いてあった移動式のベッドにみんなを寝かせた。

「全く…」
「…サト、僕も」
「リオはこっちな」

サトはベッドの上に座ると僕を膝に乗せた。

「番様、果物はどちらにいたしましょう」
「新しいの…食べてみたい」
「かしこまりました。竜王様の分もここにお運びしても?」
「そうだな。フィオナ、何かリボンをくれないか」
「こちらをお使いくださいな」

フィオナが差し出した白色のリボンをサトは僕の髪に結んだ。

「髪が伸びてきたな。魔力がたまってきた証拠だ。それゆえに気分もいいのだろう」
「髪…?」

そういえばちょっと邪魔だなって思ってた。切っちゃダメなのかな。僕、村にいたときはよく伸びてたから村長に切ってもらってたのに。

「サト、切らないの?」
「切る?髪をか?」
「いけません!綺麗な御髪を切るだなんて…」

フィオナにダメって言われた。

「邪魔なの」
「でしたらわたくしが結いますから。どうか切るだなんておっしゃらないで」

切るの…だめなことなんだ。
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