竜の花嫁〜最弱回復術師から世界最強の花嫁への道〜

本編

34

リオ視点

｢リオ､退屈していないか？｣
｢あ…いえ…｣

サトは僕の前に置かれた小さな机に果物の乗ったお皿を置いた｡

｢酒宴といえど主役ほど退屈するものはないだろう？…天蓋があるからあちらからはほとんど見えていないし話しかけられることもないからな｣
｢…皆さん…賑やかですね｣
｢宴とは大抵こういうものだ｡…リオ､酒は？｣
｢サト…が来るのを…待っていました｣

…前に飲んだ時にサトに1人の時は絶対に飲むなって言われてしまったもん｡

｢ほら｡リオはプグルの果実酒だろう？｣
｢はい…ありがとうございます｣

サトの差し出したグラスを受け取り､ほんの少しだけ口にする｡

｢美味しいです…｣
｢…定期的に献上させよう｣
｢…え？｣
｢フィオナ､これはどこのだ？｣
｢紫の地のものですわ｡わたくしの実家のものですの｣
｢来月からひと月に1本献上することは？｣
｢可能ですわ｣
｢ではそうするように伝えておけ｣
｢あの…僕…そんなに…飲まないです…｣

僕がそう言うとサトは僕の頭に手を置いた｡

｢酒は飲まないのなら熟成させておけばいい｡また違った味わいになって面白いぞ｣
｢…そう…なんですか｣

このプグルのお酒も…味…変わるのかな？どんな感じになるんだろう…｡

｢…気になるようだな｣
｢確か貯蔵庫に20年ものでしたらあったはずですわ｡持ってきましょうか？｣
｢そうだな｡余るようならばフィオナ達で楽しめばいい｣
｢ふふ｡ありがとうございます｣

…20年…僕より年上だ…｡