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本編

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フィオナ視点

ガチャ…。

「あら?早いですわね。てっきり明日の朝まで出てこないのかと思っていましたわ」
「…ない」
「はい?」
「してない。拒絶されたのだ…何故だ…なぜ…」

…え?番様が?竜王様を拒絶?番であるおふたりが?そんな…何かの間違いでしょう?

「…リオに何か事情があるようだ。フィオナ、聞き出しておいてくれ」
「竜王様はどこへ?」
「頭を冷やしてくる…」

竜王様が出ていったあと、わたくしは番様がいるであろう寝室の扉を叩いた。

「番様、入ってもよろしいですか?」
「…はい」

部屋に入ると…可哀想に。怯えているのかベッドの奥でシーツを被って震えていた。

「どうされたのですか?竜王様が何か気に触ることをしてしまったのでしょうか…?」
「違います…!!…サトは…サトは悪くない…です。僕が…汚れてる…から」

汚れている?…まさか。

「…勇者」

びくっと肩が揺れた。

「そうですか…」
「…ふぃおな…僕のこと…嫌い…になりますか?僕…汚れてる…から…捨てられちゃい…ますか?」
「いいえ。番様は綺麗なままですわ」
「でも…」

これは…心のかなり奥まで傷ついているのかもしれませんね。…魔物の巣窟に置いてくるだけじゃぬるかったか。あの場所にゾンビも入れましょう。そして永遠に治癒魔法を働かせて生きたまま身を引きちぎられ…ふふふふ。

わたくしは番様を抱きしめた。

「そんなことを仰るのでしたらわたくしの方が汚れていますわ」
「フィオナは…綺麗です」
「わたくしの手は血にまみれているのですわ。今まで竜王様に仇なす物を葬ってきましたもの。…わたくしの手はお嫌いですか?」
「…フィオナの手…」

きゅ、とわたくしよりも小さな手がわたくしの手を控えめに握った。

「…大好き…です」
「ふふ、ありがとうございます。番様、竜王様もあなたのことを嫌うことはありませんわ。竜王様は番様のためだけに存在しているんですもの」
「…僕だけ…」
「不安だというのでしたら少し試しますか?」
「…はい」

控えめに頷いたのを確認してから…番様をクローゼットに隠した。その上…念入りに匂い消しと気配消しの魔法をかけた。

「かくれんぼ、しましょうか。竜王様が鬼です」
「…かく…れんぼ」

番様はクローゼットのさらに奥、上から垂れ下がっている服の下に潜り込んだ。

さぁ準備は万端。あとは竜王様に伝えるだけですわ。







番様が部屋からいなくなったと。
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