52 / 839
番外編
柚 片思い編
しおりを挟む
「…落ち着いた?」
「はい…すみません」
僕の目の前に座る林道さんは…さっき喘息の発作を起こして苦しんでた僕を助けてくれた人。
なんと、父さんの部下だったらしい。
僕のためにいっぱい作るあれこれ…全部林道さんの所属するチームが作ってたんだって。
ご迷惑をおかけしました…。
「前に会った時のことは…覚えてない?」
「…はい」
「病院で転んだ柚琉くんを助けただけだしね。忘れてても仕方ないよ」
「あ…あの時の」
あの時はまたねって言われたけど…また会うことなかったんだよね。
「…本当は影から柚琉くんの様子みて次作るもの決めるだけだったんだけど…姿現してしかも会話までして…先輩に怒られたけど」
「…ごめんなさい」
「いいよ。まぁそのおかげでめちゃくちゃ危なっかしい子だってことは分かったし…そのおかげか…作るものが幼児向けばかりに」
待って僕それ知らないんだけど。
え?
新商品っていつもくれるやつ…もしかして子供用だったの?
僕もう16歳になるのに?
使いやすいな~と思ってた椅子とか机も?
「柚!!」
「あ、お迎え来たみたいだね」
「…ありがとうございました」
それからも何度もお茶をして…僕は林道さんのことを好いていったのかもしれない。
発情期じゃないのに顔が赤くなったり…どきどきしたり。
「…柚琉くん体調悪い?大丈夫?」
「あ…ううん。平気です…」
大丈夫…。
ただ変にドキドキしてるだけだし。
「あ、彰ー!!」
その時少し離れたところから林道さんを下の名前で呼ぶ人がいた。
「…詩織。恥ずかしいから道のど真ん中で大声で呼ばないで」
「ごめんごめん。…あ、もしかして仕事中だった…?」
「…あの…林道さん…そちらの人は…?」
僕は左手でどきどきする胸を押さえながら聞いた。
違うと…僕の思い違いなのだと…そう思いたい。
「紹介するね」
「はじめまして!!林道の妻の詩織です!!いちおーシオンって名前で歌手やってまーす」
「…はじめ…まして」
…嘘じゃなかった。
僕の思い違いでもなかった。
2人は…番だったんだ。
僕なんて入る隙もない…。
そう思った瞬間、目から涙が零れそうになった。
「…柚琉くん?」
俯いたままになってしまった僕を心配してか林道さんが声をかけてくれた。
「…なんでも…ないです。今日はここまでいいです…」
「え?でもまだ迎え来てな…」
「さようなら!!」
そのまま走ってその場から逃げた。
少し離れた場所で電話をかけて車を呼び、おうちに帰った。
「ふ…ぅぅ…」
「…柚」
自分の部屋で布団を被って静かに泣く僕に直人兄さんが話しかけてきた。
「…ごめんね。兄さん…柚の気持ちも林道のことも知ってて黙ってたんだ」
「ふぇ…?」
「柚はずーっと失敗せずに生きてきたから。たまには間違うことがないとね」
「う…うぅ…!!」
「…よしよし」
僕は布団を被ったまま直人兄さんに抱きついた。
「傷ついたね。苦しいね。悲しいね。…兄さんが一緒にいてあげるからね」
「…ふぇぇん…」
「…ふふ。林道にも感謝しないといけないかなぁ?このままいけば柚のこと囲いこめそう」
「はい…すみません」
僕の目の前に座る林道さんは…さっき喘息の発作を起こして苦しんでた僕を助けてくれた人。
なんと、父さんの部下だったらしい。
僕のためにいっぱい作るあれこれ…全部林道さんの所属するチームが作ってたんだって。
ご迷惑をおかけしました…。
「前に会った時のことは…覚えてない?」
「…はい」
「病院で転んだ柚琉くんを助けただけだしね。忘れてても仕方ないよ」
「あ…あの時の」
あの時はまたねって言われたけど…また会うことなかったんだよね。
「…本当は影から柚琉くんの様子みて次作るもの決めるだけだったんだけど…姿現してしかも会話までして…先輩に怒られたけど」
「…ごめんなさい」
「いいよ。まぁそのおかげでめちゃくちゃ危なっかしい子だってことは分かったし…そのおかげか…作るものが幼児向けばかりに」
待って僕それ知らないんだけど。
え?
新商品っていつもくれるやつ…もしかして子供用だったの?
僕もう16歳になるのに?
使いやすいな~と思ってた椅子とか机も?
「柚!!」
「あ、お迎え来たみたいだね」
「…ありがとうございました」
それからも何度もお茶をして…僕は林道さんのことを好いていったのかもしれない。
発情期じゃないのに顔が赤くなったり…どきどきしたり。
「…柚琉くん体調悪い?大丈夫?」
「あ…ううん。平気です…」
大丈夫…。
ただ変にドキドキしてるだけだし。
「あ、彰ー!!」
その時少し離れたところから林道さんを下の名前で呼ぶ人がいた。
「…詩織。恥ずかしいから道のど真ん中で大声で呼ばないで」
「ごめんごめん。…あ、もしかして仕事中だった…?」
「…あの…林道さん…そちらの人は…?」
僕は左手でどきどきする胸を押さえながら聞いた。
違うと…僕の思い違いなのだと…そう思いたい。
「紹介するね」
「はじめまして!!林道の妻の詩織です!!いちおーシオンって名前で歌手やってまーす」
「…はじめ…まして」
…嘘じゃなかった。
僕の思い違いでもなかった。
2人は…番だったんだ。
僕なんて入る隙もない…。
そう思った瞬間、目から涙が零れそうになった。
「…柚琉くん?」
俯いたままになってしまった僕を心配してか林道さんが声をかけてくれた。
「…なんでも…ないです。今日はここまでいいです…」
「え?でもまだ迎え来てな…」
「さようなら!!」
そのまま走ってその場から逃げた。
少し離れた場所で電話をかけて車を呼び、おうちに帰った。
「ふ…ぅぅ…」
「…柚」
自分の部屋で布団を被って静かに泣く僕に直人兄さんが話しかけてきた。
「…ごめんね。兄さん…柚の気持ちも林道のことも知ってて黙ってたんだ」
「ふぇ…?」
「柚はずーっと失敗せずに生きてきたから。たまには間違うことがないとね」
「う…うぅ…!!」
「…よしよし」
僕は布団を被ったまま直人兄さんに抱きついた。
「傷ついたね。苦しいね。悲しいね。…兄さんが一緒にいてあげるからね」
「…ふぇぇん…」
「…ふふ。林道にも感謝しないといけないかなぁ?このままいけば柚のこと囲いこめそう」
0
お気に入りに追加
1,992
あなたにおすすめの小説
おねしょ癖のせいで恋人のお泊まりを避け続けて不信感持たれて喧嘩しちゃう話
こじらせた処女
BL
網谷凛(あみやりん)には付き合って半年の恋人がいるにもかかわらず、一度もお泊まりをしたことがない。それは彼自身の悩み、おねしょをしてしまうことだった。
ある日の会社帰り、急な大雨で網谷の乗る電車が止まり、帰れなくなってしまう。どうしようかと悩んでいたところに、彼氏である市川由希(いちかわゆき)に鉢合わせる。泊まって行くことを強く勧められてしまい…?
3人の弟に逆らえない
ポメ
BL
優秀な3つ子に調教される兄の話です。
主人公:高校2年生の瑠璃
長男の嵐は活発な性格で運動神経抜群のワイルド男子。
次男の健二は大人しい性格で勉学が得意の清楚系王子。
三男の翔斗は無口だが機械に強く、研究オタクっぽい。黒髪で少し地味だがメガネを取ると意外とかっこいい?
3人とも高身長でルックスが良いと学校ではモテまくっている。
しかし、同時に超がつくブラコンとも言われているとか?
そんな3つ子に溺愛される瑠璃の話。
調教・お仕置き・近親相姦が苦手な方はご注意くださいm(_ _)m
真冬の痛悔
白鳩 唯斗
BL
闇を抱えた王道学園の生徒会長、東雲真冬は、完璧王子と呼ばれ、真面目に日々を送っていた。
ある日、王道転校生が訪れ、真冬の生活は狂っていく。
主人公嫌われでも無ければ、生徒会に裏切られる様な話でもありません。
むしろその逆と言いますか·····逆王道?的な感じです。
お迎えから世界は変わった
不知火
BL
「お迎えに上がりました」
その一言から180度変わった僕の世界。
こんなに幸せでいいのだろうか
※誤字脱字等あると思いますがその時は指摘をお願い致します🙇♂️
タグでこれぴったりだよ!ってのがあったら教えて頂きたいです!
全寮制男子校でモテモテ。親衛隊がいる俺の話
みき
BL
全寮制男子校でモテモテな男の子の話。 BL 総受け 高校生 親衛隊 王道 学園 ヤンデレ 溺愛 完全自己満小説です。
数年前に書いた作品で、めちゃくちゃ中途半端なところ(第4話)で終わります。実験的公開作品
元生徒会長さんの日常
あ×100
BL
俺ではダメだったみたいだ。気づけなくてごめんね。みんな大好きだったよ。
転校生が現れたことによってリコールされてしまった会長の二階堂雪乃。俺は仕事をサボり、遊び呆けたりセフレを部屋に連れ込んだりしたり、転校生をいじめたりしていたらしい。
そんな悪評高い元会長さまのお話。
長らくお待たせしました!近日中に更新再開できたらと思っております(公開済みのものも加筆修正するつもり)
なお、あまり文才を期待しないでください…痛い目みますよ…
誹謗中傷はおやめくださいね(泣)
2021.3.3
BLゲーの悪役に転生したら予想外の展開でした。
たら
BL
はぁぁん??意味わからない。
【主人公】
前世→腐男子くん
前世は普通に平凡なオタクの腐男子。
周りには萌え系が好きと言っているが腐男子の事は墓場まで秘密にしている。
何故かめちゃくちゃハマってたBLゲームの大嫌いな悪役キャラに転生しててショック。
死んだ訳では無いのに意味わからん状態。
西園寺光輝 (さいおんじ こうき)悪役
超大金持ち西園寺財閥、西園寺家の御曹司。
我儘で俺様でありながら何でも完璧にこなす天才。
そのカリスマ性に憧れて取り巻きが沢山居る。
容姿は美しく髪は濡羽色で瞳は宝石のアメトリン。
ヒロインが攻略キャラ達と仲が良いのが気に食わなくて上手こと裏で虐めていた。
最終的には攻略キャラと攻略キャラ達に卒業パーティーで断罪されて学園を追放される。
ついでに西園寺財閥も悪事を暴かれて倒産した。
【君と僕とのLove学園】(君ラブ)
ストーリーとキャラデザ&設定が神すぎる上にボイスキャストも豪華でかなり話題になった大人気BLゲーム。
〜あらすじ〜
可愛い容姿をした超貧乏学生のヒロイン( ♂)がひょんな事から、道端で周りの人間に見て見ぬふりをされて心臓発作で蹲ってたLove学園の学園長を助けてお礼はいらないと言って立ち去った。
優しいヒロインの事が気になり勝手に調査したが、貧乏すぎて高校に行ってない事が分かり編入させるという形で恩返しをした。
そこから攻略キャラ達とラブストーリーが始まる!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる