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選択編

父ルート 5

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柊二視点

「柚、足の包帯変えようか」
「ふにゅ?」
「解けてきてるからね。樹、持ってるよね?」
「はい」
樹は柚の前にしゃがみこむとテキパキと包帯を取り換えた。
「ありがとー」
「いえ」
「明日病院でちゃんと見てもらおうね。骨折してると大変だし」
「ふぇ!?」
柚は嫌がるだろうけど…ちゃんと連れていかないと。
そろそろ定期検診もしないといけないし。
1ヶ月に1回は必ず病院に行って経過を見ないと…僕も椎名も安心できないから。
「僕もうおうち帰るの?」
「そうだよ。その怪我が治るまでおうちでゆっくり過ごそうね」
「むぅ…やっと行けたのに…」
「仕方ありませんよ。…その代わりお休みの間は柚琉様の好きなことをされて構いませんから」
「ほんとに!?」
「えぇ」
樹が気を引いてくれて助かった。
…明日の診察でなんと言われるかな。
それによってはまた入院にならないとも限らない。
















「…全く変わりなし。いつも通りのだね」
「やっぱり…」
「…そこまで未熟児じゃなかったはずなんだけどな…」
椎名の診察室にて柚の臓器の3D写真を眺めながらこれからについて考えていた。
多少しか医学の知識を持たない僕でさえ分かるほど柚の状態は危険だから。
「1番酷いのは心臓だけど…それ以外もいつかは何とかしないといけないよな…」
「…柚に伝えられると思う?何回手術繰り返すの…」
「放っておいても平気な腎臓とかおいとけば…3、4回ぐらい?」
「…病院嫌いなあの子にどう言えと?」
「それは…主治医としてもかなり難しいんだよ…毎回検査の度に暴れるし入院なんて告げた日には逃げ出そうとまでするし」
「…生まれつきだとしても…伝えにくいなぁ…」
柚の体は生まれた時からかなりまずかった。
未熟児で生まれたこともそうだが…内臓のほとんどが本来の大きさまで成長していなかったのだ。
「…身長も平均より低いんだよね?」
「毎回2学年下の平均を超えるかどうかってとこ」
「小人症…の診断は出なかったから…ほんとなんなの…」
「薬での対処は?」
「薬飲んでくれないし点滴も注射も1回やるだけでかなり時間かかるんだよ?仮にあったとしても無茶だって」
「「はぁ…」」
悩みの種は…つきそうにないな。
「旦那様…そろそろ」
「ん。椎名、柚が限界迎えたようだし帰るよ」
「次来るまでになんとか作戦練ってみる…栄養管理は任せたぞ」
「分かってるって」
カルシウムとビタミン、鉄分はいつも取らせてるけど…。
他に何をやれば…。
「にゅぅぅぅ!!」
変な声が聞こえ、扉の方を見ると柚が一生懸命扉を開けていた。
「あ、父さんいたっ!!早く帰ろ?おやつの時間!!僕のおやつ!!」
「はいはい…」
「じゃ、柊二またね」
「また」
「またはないもん!!もう来ないもん!!」
…来るんだよね。
最低でも1ヶ月後には。
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