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番外編

ポーカー

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「はい。また父さんの勝ちだね」
「ほんっと…昔から勝負事やるとどれでも勝った事ねぇよな」
「チェスに将棋にすごろくでさえ勝てなかったからね」
「裏取りと先読みの力だよ。直人は裏を読みすぎ。翔はもう少し慎重に」
…そういえばスピードでも勝ったことないな。
「なにしてるのー!!」
柚はてとてと走ってくると僕の前で止まった。
「ポーカー…カードゲームだよ。3人で勝負してたの」
「ぼくもやるー!!」
「柚にはまだ難しいからババ抜きとかにしようか」
「ぼくもぱーかーやるの!!」
「…柚、ポーカーな。それじゃただの服だ」
「ぽーかー!!」
「いいよ。じゃあ僕と柚でチームってことにする」
柚を膝に乗せてカードを握らせた。
「柚はどれを捨てるか選んでいってね」
「はぁい」



数分後…
「なおにいさん!!」
「ん?」
「これつぎどーするの?」
「つぎはね……え?」
柚のカードをじーっと見る。
「あー…父さん、兄さん…」
「ん?どうかした?」
「このゲーム…柚の圧勝だ」
「…何が?」
柚に手に持っていたカードを机の上に広げさせた。
「…ロイヤルストレートフラッシュ…インチキ抜きで完成させたの初めて見た」
「…運強くない?」
「ふにゅ?どーしたのー?おわり?」
「終わりだよ。柚の勝ち」
「ぼくかった?」
「そう」
「わぁい!!」
手足をパタパタさせて喜ぶ柚、可愛い。
「でもるーるよくわかんない」
「じゃあ柚はどんなの知ってる?」
「えっとね…ばばぬきと…じじぬきと…すぴーどとしちならべとしんけいすいじゃくできる!!」
「柚、スピードで俺と勝負してみるか?」
「うん!!」
…あ、柚にはこのカード大きくないかな。
「せーのっ!!」
柚は赤のカードを選んだ。
「…掛け声は色々あるけどどうする?」
「せーのでしかやったことない…」
「じゃあそれでやるか。手札並べたな?」
「うん!!」
「「せーの!!」」
柚は次々にカードを出していく。
…あれ?
兄さんより…強くない?
「普段のあのマイペースさはどこへいったのやら…」
「物凄く早いね…」
「…柚は体を使わないゲームなら得意なのかもね。お正月恒例の家族ですごろくする時も1番にあがるし。…罰ゲーム付きだと何度も1回休みになってたけど」
「運がいいのか悪いのか…」
まぁ柚が楽しいのならなんでもいいけど。












この数十分で判明したことがある。
柚はカードゲームなら負けない。
いや正確には父さんには何度か負けてた。
僕達は全く勝てなかった。
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