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選択編

直人 番編

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柚視点

「直人兄さーん!!」
僕は樹くんと一緒に直人兄さんのお家に来た。
えっへん。
僕にもやっと外出許可が出たんだもん。
…だって父さんがお外出してくれないからずーっとお部屋に篭ってたらいいよって言ってくれたもん。
「…柚?」
「久しぶ……誰?」
「柚には紹介してなかったね。1か月前からここに住み始めた雷斗らいとだよ。僕の運命の番の」
ふーん。
…兄さんのお膝の上は僕の場所なのに取った。
「むぅぅ」
「どうしたの?」
「いや直人!!お前はとりあえず俺を離せ!!離せよ!!」
「嫌だ。だってライすぐにどっか行こうとするし」
「行かねぇよ!!つかあそこのドアあかねぇし!!」
「なんでもいいからそこどいてっ!!僕の場所っ!!」
僕は兄さんの膝に座っている雷斗さんを押した。
んぬぬぬー!!
全然動かないっ!!
「え?…あぁ。そうだったね。柚おいで」
直人兄さんは雷斗さんを離すとすぐに僕を膝に乗せてくれた。
「ここは柚だけの場所なの?」
「そうなのっ!!」
「でも柚は色んな人のお膝乗ってるよね?」
「僕はいーの!!」
乗ってるんじゃなくてみんなが乗せてるの!!
だからそこが定番の位置になっただけ!!
「…はぁ…やっと離された…あ、柚…だっけ?俺は雷斗。よろしくな」
「僕嫌いっ!!」
「柚」
「うりゅ…」
直人兄さんのこの声は…僕を叱る時のだ。
「ら…らって…」
「あぁ泣かないで。またお目目赤くなっちゃうよ?」
「ふぇ…兄さん取った…ぐすん…僕の…兄さんらもん」
「…兄さんはいつでも柚の兄さんのままだよ?」
「やなの!!」
兄さん会った時にいつもみたいにぎゅーってしてくれなかった!!
「…雷斗。ごめんね、放置しちゃって」
「いやむしろ俺は放置してほしいんだけど。…そろそろ仕事行きたいんだけど」
「まだダメ。休むって連絡してるんだから休もうよ」
「休ませてくれないのはどこのどいつだ!!」
「兄さん!!」
「はいはい」
…兄さんがこの人と話してるとイライラする。
むぅ…。
「あ、柚」
「んぅ?」
「雷斗が作ったケーキあるよ。食べる?」
「食べる!!……やっぱりいらない」
この人が作ったの?
そんなのいらないもん。
くーきゅるるる。
「…ふふ」
「んにゃぁぁ!!」
なんでお腹鳴ったの!!
「雷斗。フルーツタルトまだあったよね?出してあげて」
「了解。…カスタードとフルーツクリームとあるけどどっちにする?」
「一応フルーツクリームの方。今ここでアレルギー出ちゃっても薬ないもんね」
「カスタードでは出たことないもん!!」
…物凄く疲れた時とかは普段平気なやつでも蕁麻疹出ちゃうけど大丈夫だもん。
「雷斗のケーキ美味しいよ。きっと柚も気に入るから」
「ふん。お腹すいたから食べてあげるだけだもん。食べたいなんて言ってない!!」
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