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番外編
柚と夏の青春 部活編
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「夏ー!!頑張れー!!」
僕はコートの外から夏に精一杯の大声で声援を送った。
僕達が所属するサッカー部…のはずなんだけどさっきから夏にばっかりボールが集まってない?
あれ?
なんで敵さんも夏にボール渡してるの?
「…はぁ…暑いなぁ」
さすがに僕にテントなしの炎天下での応援は厳しかったかな…。
樹くんに大丈夫だからってついてきてもらわなかったのに。
スポーツドリンク飲みたいけど夏の分も含んでるんだから我慢!!
「藤沢くん。今どっちが勝ってる?」
「うちのチームっ!!夏が頑張ってるよ!!」
えへへ、さすが僕の自慢のお兄ちゃん。
「藤沢くんも休んできたら?そろそろ休憩入るよ」
「…うん。僕もうベンチの方行くね」
ちょっと立ってるのも辛くなってきたし…。
僕はベンチまで辿り着いて…そこでしゃがみこんで動けなくなってしまった。
「はぁ…はぁ…」
息が苦しい。
目の前が白く霞んでる。
立ち上がれない。
「柚!!」
あ…夏の声だ…。
ダメだよ…まだ試合中だし…僕なんて放っておいていいから。
なんとか体育座りの体勢まで動かすことに成功し、やっとゆっくり息ができるようになってきた。
「ふぅ…」
さっきのなんだったんだろう…でももうだるくて立てないや。
ここからでも夏…見えるかな?
「…柚琉様」
「ふぇ…樹く…?」
「やはりこうなりましたか…様子を見に来て正解でした」
樹くんは僕の首に保冷剤をタオルで包んだものを巻き付け、水筒を渡してくれた。
「あの水筒だけでは足りないと思い新しいのも持ってきましたよ。柚琉様のことですから残り少なくなるとご自分は我慢しそうですし」
「う…」
誤魔化すようにドリンクを飲んだ。
「…軽い熱中症ですかね。病院に行った方がいいかもしれません」
「どうして…?」
「柚琉様が悪化しないとは思えないですから」
…酷い…けどほんとにその通りだ。
「ぜぇ…はぁ…ゆず…だいじょ…ぶ?」
「夏の方こそ大丈夫?」
「だいじょ…ぶ」
水筒を手渡すとすぐに中身を飲み干した。
「途中から体調崩してたよね?今日はもう帰る?」
「帰らない。良く見えたね…あんなに活躍してたのに」
「ほんとあれウザイ…敵チームも夏にばっかマークしてくるしさ」
「かっこよかったよ」
「ほんと!?やった。じゃあもっと頑張ってくる!!柚は樹についててもらってね」
「分かってるよ」
…だって樹くん後ろで日傘とか色々用意してるからそばにいる気なんだろうな…。
僕日傘持ってられないし。
僕はコートの外から夏に精一杯の大声で声援を送った。
僕達が所属するサッカー部…のはずなんだけどさっきから夏にばっかりボールが集まってない?
あれ?
なんで敵さんも夏にボール渡してるの?
「…はぁ…暑いなぁ」
さすがに僕にテントなしの炎天下での応援は厳しかったかな…。
樹くんに大丈夫だからってついてきてもらわなかったのに。
スポーツドリンク飲みたいけど夏の分も含んでるんだから我慢!!
「藤沢くん。今どっちが勝ってる?」
「うちのチームっ!!夏が頑張ってるよ!!」
えへへ、さすが僕の自慢のお兄ちゃん。
「藤沢くんも休んできたら?そろそろ休憩入るよ」
「…うん。僕もうベンチの方行くね」
ちょっと立ってるのも辛くなってきたし…。
僕はベンチまで辿り着いて…そこでしゃがみこんで動けなくなってしまった。
「はぁ…はぁ…」
息が苦しい。
目の前が白く霞んでる。
立ち上がれない。
「柚!!」
あ…夏の声だ…。
ダメだよ…まだ試合中だし…僕なんて放っておいていいから。
なんとか体育座りの体勢まで動かすことに成功し、やっとゆっくり息ができるようになってきた。
「ふぅ…」
さっきのなんだったんだろう…でももうだるくて立てないや。
ここからでも夏…見えるかな?
「…柚琉様」
「ふぇ…樹く…?」
「やはりこうなりましたか…様子を見に来て正解でした」
樹くんは僕の首に保冷剤をタオルで包んだものを巻き付け、水筒を渡してくれた。
「あの水筒だけでは足りないと思い新しいのも持ってきましたよ。柚琉様のことですから残り少なくなるとご自分は我慢しそうですし」
「う…」
誤魔化すようにドリンクを飲んだ。
「…軽い熱中症ですかね。病院に行った方がいいかもしれません」
「どうして…?」
「柚琉様が悪化しないとは思えないですから」
…酷い…けどほんとにその通りだ。
「ぜぇ…はぁ…ゆず…だいじょ…ぶ?」
「夏の方こそ大丈夫?」
「だいじょ…ぶ」
水筒を手渡すとすぐに中身を飲み干した。
「途中から体調崩してたよね?今日はもう帰る?」
「帰らない。良く見えたね…あんなに活躍してたのに」
「ほんとあれウザイ…敵チームも夏にばっかマークしてくるしさ」
「かっこよかったよ」
「ほんと!?やった。じゃあもっと頑張ってくる!!柚は樹についててもらってね」
「分かってるよ」
…だって樹くん後ろで日傘とか色々用意してるからそばにいる気なんだろうな…。
僕日傘持ってられないし。
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