普通の学生だった僕に男しかいない世界は無理です。帰らせて。

かーにゅ

文字の大きさ
上 下
721 / 839
選択編

司ルート 5

しおりを挟む
「ちっちゃいね…双葉ふたば…」
はじめとは大違いだな」
「…母さん達もこんな気持ちだったのかな。僕…こんな小さな時から心配かけてたんだ」
「…双葉。早く大きくなれよ」
保育器の中に指を入れると小さな手できゅっと握ってくれた。
「…僕ちゃんと子育てできるかな」
「いざとなれば樹もいるだろ?」
「樹くんが僕についたの4歳からだもん…まぁオムツとかは何回かやられたけど」
待って?
それ聞いてないぞ。
「そろそろ病室戻るか」
「うん。一も樹くんに任せっきりじゃ悪いしね」




「樹くん。ただいま」
「おかえりなさいませ」
「柚。よく頑張ったわね」
「母さん!?」
病室に戻ると柚の母親もいた。
「生まれたって言うから来ちゃった」
「寝てなくていいの?体大丈夫?」
「大丈夫よ。年老いても母さんは元気だから」
「だって僕がおうち帰るといつも母さん寝てたんだもん…」
「それは柊二のせいよ。…全く…加減ってものを知らないんだから」
俺の心にもグサッと刺さった。
うん…柚のお父さんに同情する。
目の前に自分の好きな番がいたら食うだろ。
「この子一って言うの?可愛いわね」
「あともう1人えぬあいしーゆーって所に双葉もいるんだよ」
「双子だったの!?でも双子は普通分娩では産めないはずよ…?臍の緒が絡まってしまうもの」
奇跡的に何も起こらず出産できたって助産師さん達も驚いてたぞ。
柚を車椅子からベッドへ移動させ、カーディガンを羽織らせた。
「ねぇ母さん。子育てってどうやればいいのかな」
「愛情たっぷりに優しく育ててあげれば大丈夫よ。柚ならできるわ」
「ほんと…?」
「えぇ」
樹は一を柚に抱かせた。
「…意外と重たい」
「柚には重たく感じるかもな」
たった3kgしかないけど柚は重いものなんて持ったことないし。
「また今度ベビー服とか持ってくるわね。前にあげた分じゃ2人分はないと思うの」
「ありがとうございます。でもこっちでも準備するので大丈夫ですよ」
「あらそう?困ったことがあったら言ってちょうだいね」
「か…かあさん…」
「ん?」
柚を見ると一を抱えたままプルプルしていた。
「うでしびれたぁ…」
「あらら」
「柚、一もらうぞ」
柚から一を受け取り丁寧にベッド横に置かれた一用のベッドに寝かす。
午後からは柚の検査だっけ。
「柚。検査の用意出来てるか?」
「しない!!元気だもん!!」
「出産は心臓に負担がかかるから産後は検査したいって先生言ってただろ」
「むぅ…」
柚の検査嫌いが一と双葉に移らなければいいんだけどな…。
しおりを挟む
感想 530

あなたにおすすめの小説

異世界転生したのに弱いってどういうことだよ

めがてん
BL
俺――須藤美陽はその日、大きな悲しみの中に居た。 ある日突然、一番大切な親友兼恋人であった男を事故で亡くしたからだ。 恋人の葬式に参列した後、誰も居ない公園で悲しみに暮れていたその時――俺は突然眩い光に包まれた。 あまりに眩しいその光に思わず目を瞑り――次に目を開けたら。 「あうううーーー!!?(俺、赤ちゃんになってるーーー!!?)」 ――何故か赤ちゃんになっていた。 突然赤ちゃんになってしまった俺は、どうやら魔法とかあるファンタジー世界に転生したらしいが…… この新しい体、滅茶苦茶病弱だし正直ファンタジー世界を楽しむどころじゃなかった。 突然異世界に転生してしまった俺(病弱)、これから一体どうなっちゃうんだよーーー! *** 作者の性癖を詰め込んだ作品です 病気表現とかあるので注意してください BL要素は薄めです 書き溜めが尽きたので更新休止中です。

俺、転生したら社畜メンタルのまま超絶イケメンになってた件~転生したのに、恋愛難易度はなぜかハードモード

中岡 始
BL
ブラック企業の激務で過労死した40歳の社畜・藤堂悠真。 目を覚ますと、高校2年生の自分に転生していた。 しかも、鏡に映ったのは芸能人レベルの超絶イケメン。 転入初日から女子たちに囲まれ、学園中の話題の的に。 だが、社畜思考が抜けず**「これはマーケティング施策か?」**と疑うばかり。 そして、モテすぎて業務過多状態に陥る。 弁当争奪戦、放課後のデート攻勢…悠真の平穏は完全に崩壊。 そんな中、唯一冷静な男・藤崎颯斗の存在に救われる。 颯斗はやたらと落ち着いていて、悠真をさりげなくフォローする。 「お前といると、楽だ」 次第に悠真の中で、彼の存在が大きくなっていき――。 「お前、俺から逃げるな」 颯斗の言葉に、悠真の心は大きく揺れ動く。 転生×学園ラブコメ×じわじわ迫る恋。 これは、悠真が「本当に選ぶべきもの」を見つける物語。

俺の愉しい学園生活

yumemidori
BL
ある学園の出来事を腐男子くん目線で覗いてみませんか?? #人間メーカー仮 使用しています

学園と夜の街での鬼ごっこ――標的は白の皇帝――

天海みつき
BL
 族の総長と副総長の恋の話。  アルビノの主人公――聖月はかつて黒いキャップを被って目元を隠しつつ、夜の街を駆け喧嘩に明け暮れ、いつしか"皇帝"と呼ばれるように。しかし、ある日突然、姿を晦ました。  その後、街では聖月は死んだという噂が蔓延していた。しかし、彼の族――Nukesは実際に遺体を見ていないと、その捜索を止めていなかった。 「どうしようかなぁ。……そぉだ。俺を見つけて御覧。そしたら捕まってあげる。これはゲームだよ。俺と君たちとの、ね」  学園と夜の街を巻き込んだ、追いかけっこが始まった。  族、学園、などと言っていますが全く知識がないため完全に想像です。何でも許せる方のみご覧下さい。  何とか完結までこぎつけました……!番外編を投稿完了しました。楽しんでいただけたら幸いです。

恋愛ゲームは続行中

Guidepost
BL
篠原 智也(しのはら ともや)は、二年目の大学生活の勉強以外の時間や労力をほとんど大学でのサークル活動に費やしていた。 サークルでは、みんなでゲームを作成している。 内容は恋愛シミュレーションゲーム。 そのサークルメンバーの一人、辻村 昌史(つじむら まさふみ)は一つ下の後輩で、智也にとても懐いていた。 昌史自身、恋愛の意味でも智也が大好きで――。

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

室長サマの憂鬱なる日常と怠惰な日々

BL
SECRET OF THE WORLD シリーズ《僕の名前はクリフェイド・シュバルク。僕は今、憂鬱すぎて溜め息ついている。なぜ、こうなったのか…。 ※シリーズごとに章で分けています。 ※タイトル変えました。 トラブル体質の主人公が巻き込み巻き込まれ…の問題ばかりを起こし、周囲を振り回す物語です。シリアスとコメディと半々くらいです。 ファンタジー含みます。

親衛隊総隊長殿は今日も大忙しっ!

BL
人は山の奥深くに存在する閉鎖的な彼の学園を――‥ 『‡Arcanalia‡-ア ル カ ナ リ ア-』と呼ぶ。 人里からも離れ、街からも遠く離れた閉鎖的全寮制の男子校。その一部のノーマルを除いたほとんどの者が教師も生徒も関係なく、同性愛者。バイなどが多い。 そんな学園だが、幼等部から大学部まであるこの学園を卒業すれば安定した未来が約束されている――。そう、この学園は大企業の御曹司や金持ちの坊ちゃんを教育する学園である。しかし、それが仇となり‥ 権力を振りかざす者もまた多い。生徒や教師から崇拝されている美形集団、生徒会。しかし、今回の主人公は――‥ 彼らの親衛隊である親衛隊総隊長、小柳 千春(コヤナギ チハル)。彼の話である。 ――…さてさて、本題はここからである。‡Arcanalia‡学園には他校にはない珍しい校則がいくつかある。その中でも重要な三大原則の一つが、 『耳鳴りすれば来た道引き返せ』

処理中です...