上 下
675 / 839
選択編

直人ルート 10

しおりを挟む
「かなー。かなでー?」
「あいっ!!ぱぱっ!!」
「ん。いい返事。ママ起こしてきて。ご飯食べようね」
「ままっ!!」
たたたっと駆けていく小さな子。
そう、僕と柚の初めての子、かなでだ。
今は3歳。
柚が教えてるから平仮名はもう完璧にかけてるんだけどね。
たまにくるって回転するやつは向きが逆になってるけど。
「ぱぱぁ。ままねんね」
「ねんね?…ちょっと待っててね」
寝室に向かってみると…柚はまだ布団の中にいた。
「柚?体調悪い?」
「んー…だるいだけ…ごめんね…ご飯食べれない…」
「食欲もないの?熱は?測った?」
「うん…熱はなかった…」
「…心配だね。病院に…と言いたいところだけど今日奏を予防接種に連れていかないと…その時に一緒に予約取れるかな…」
「だいじょうぶ…るすばんしてるよ…」
「…樹を置いていくから。何かあったらすぐ連絡するんだよ?」
「はぁい…」
頭を撫で、寝室を後にする。
「ぱぱ。ままは?」
「ママはまだねんね。起こしちゃダメだよ?」
「あいっ」
奏を椅子に座らせ、僕は横の席に座る。
「いただきます」
「いたーらきますっ」
口いっぱいに頬張る奏。
…なんか昔の柚みたいだな。
急かすといつもリスみたいに頬にたくさん貯めて…。
「かな。急がなくていいからゆっくりよく噛んで食べて」
「ぱぱのごはんおいしいもんっ!!あ、ままのもすきだよ?」
「ありがとう」
口周りについたイチゴジャムを拭うとふにゃりと笑った。
「にゃぁ…」
「……」
…第2の柚?
確か…かなはこの間の検査でΩって言われてたはず…。
外見は今は小さいからよく分からないけど多分大きくなってもΩにはあまり見えなさそうだな…。
「ぱぱっじゅーす!!」
「あ、ごめんね。かなのもう終わってたね」
冷蔵庫からジュースを取り出し、コップにそそぐ。
…柚のご飯も考えないと。
お粥…かな。
でも食欲ないって言ってたからゼリーのがいいのかも。
「ぱぱー!!はやくー!!」
「はいはい」
コップを渡すと小さな手でしっかりと掴み、ごくごくと飲んでいく。
…かなは僕の2つ目の宝物だな。
「んにゅ?」
頭を撫でるとコップから口を離してこちらを見た。
「なんでもないよ。かなが可愛いなぁって思って」
「ありあとっ!!かなよりままのがかわいーよ?」
「それはパパもそう思う」
「さ。お腹いっぱいなったらなんて言うんだっけ?」
「ごちそーさまれしたっ!!」
「お粗末さまでした。よし、お出かけの準備しようか」
「あいっ!!」





























数時間後…病院にて
『直人様』
「ん?樹?どうしたの?」
『柚琉様の体調不良の原因が分かりました』
「なんだった?」
『おめでとうございます。妊娠されてますよ』
「…へ?」
いやだって悪阻なかっ…。
『直人様。世の中には眠りつわりや食べつわりと言うものもあるのですよ。嘔吐だけが悪阻の症状ではありません』
…知らないうちに柚は悪阻の時期を過ぎてたのか。
『どうしますか?…中絶は…』
「それは絶対にしない。今どこにいる?」
『ご自宅です。病院には行かないと駄々をこねるもので検査薬を使いました』
「…そのうち病院連れていかないとな…来週辺りかな。樹も空けておいて」
『かしこまりました』
電話を切るとくいっと下に引っ張られた。
「ぱーぱ」
「ん?かな、どうしたの?」
「ちゅーしゃ、がんばった!!ほめれっ!!」
「て」が上手く言えなくて命令したみたいになっちゃってる。
「かなはいい子だね。…よし。じゃあ帰りにどこか寄ろうか」
「やったぁ!!かなね、かなね、どーなつたべたいっ!!」
「はいはい。かな、おいで」
「わーい!!」
手を広げるとすぐに飛び込んできた。
…2人目か。
「かな」
「んー?」
「かなにね。弟が出来たよ」
「おとーと?」
「弟。可愛がってあげられる?」
「あいっ!!」
頼もしい。



































一応…奏のつもりです。下手ですけど。本当は直人、奏、柚で描こうと思ったんですけど私にはレベルが高すぎました…。

直人ルート
end
しおりを挟む
感想 530

あなたにおすすめの小説

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

ザ・兄貴っ!

BL
俺の兄貴は自分のことを平凡だと思ってやがる。…が、俺は言い切れる!兄貴は… 平凡という皮を被った非凡であることを!! 実際、ぎゃぎゃあ五月蝿く喚く転校生に付き纏われてる兄貴は端から見れば、脇役になるのだろう…… が、実は違う。 顔も性格も容姿も運動能力も平凡並だと思い込んでいる兄貴… けど、その正体は――‥。

噂の補佐君

さっすん
BL
超王道男子校[私立坂坂学園]に通う「佐野晴」は高校二年生ながらも生徒会の補佐。 [私立坂坂学園]は言わずと知れた同性愛者の溢れる中高一貫校。 個性強過ぎな先輩後輩同級生に囲まれ、なんだかんだ楽しい日々。 そんな折、転校生が来て平和が崩れる___!? 無自覚美少年な補佐が総受け * この作品はBのLな作品ですので、閲覧にはご注意ください。 とりあえず、まだそれらしい過激表現はありませんが、もしかしたら今後入るかもしれません。 その場合はもちろん年齢制限をかけますが、もし、これは過激表現では?と思った方はぜひ、教えてください。

傷だらけの僕は空をみる

猫谷 一禾
BL
傷を負った少年は日々をただ淡々と暮らしていく。 生を終えるまで、時を過ぎるのを暗い瞳で過ごす。 諦めた雰囲気の少年に声をかける男は軽い雰囲気の騎士団副団長。 身体と心に傷を負った少年が愛を知り、愛に満たされた幸せを掴むまでの物語。 ハッピーエンドです。 若干の胸くそが出てきます。 ちょっと痛い表現出てくるかもです。

風紀“副”委員長はギリギリモブです

柚実
BL
名家の子息ばかりが集まる全寮制の男子校、鳳凰学園。 俺、佐倉伊織はその学園で風紀“副”委員長をしている。 そう、“副”だ。あくまでも“副”。 だから、ここが王道学園だろうがなんだろうが俺はモブでしかない────はずなのに! BL王道学園に入ってしまった男子高校生がモブであろうとしているのに、主要キャラ達から逃げられない話。

モブらしいので目立たないよう逃げ続けます

餅粉
BL
ある日目覚めると見慣れた天井に違和感を覚えた。そしてどうやら僕ばモブという存存在らしい。多分僕には前世の記憶らしきものがあると思う。 まぁ、モブはモブらしく目立たないようにしよう。 モブというものはあまりわからないがでも目立っていい存在ではないということだけはわかる。そう、目立たぬよう……目立たぬよう………。 「アルウィン、君が好きだ」 「え、お断りします」 「……王子命令だ、私と付き合えアルウィン」 目立たぬように過ごすつもりが何故か第二王子に執着されています。 ざまぁ要素あるかも………しれませんね

眺めるほうが好きなんだ

チョコキラー
BL
何事も見るからこそおもしろい。がモットーの主人公は、常におもしろいことの傍観者でありたいと願う。でも、彼からは周りを虜にする謎の色気がムンムンです!w 顔はクマがあり、前髪が長くて顔は見えにくいが、中々美形…! そんな彼は王道をみて楽しむ側だったのに、気づけば自分が中心に!? てな感じの巻き込まれくんでーす♪

BL世界に転生したけど主人公の弟で悪役だったのでほっといてください

わさび
BL
前世、妹から聞いていたBL世界に転生してしまった主人公。 まだ転生したのはいいとして、何故よりにもよって悪役である弟に転生してしまったのか…!? 悪役の弟が抱えていたであろう嫉妬に抗いつつ転生生活を過ごす物語。

処理中です...